建築のプロが教える注文住宅を建てるときにかかる費用の考え方

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注文住宅で家を建てる場合、費用はどれくらいかかるか心配されている方も多いのではないでしょうか。
注文住宅は完全なオーダーメイド住宅であるため、費用についての考え方が普通の住宅とは違います。

しかし、一概に「いくらかかる」ということを断言することはできません。

なぜなら注文住宅は建主の「こだわり」が強く反映されるものであり、それにより費用は大きく変わるからです。

ここではこうした内容を踏まえ、注文住宅を建てるときに絶対に知っておきたい費用の考え方についてプロの視点からお伝えします。

1 注文住宅の費用・相場の考え方について

結論からお伝えすると、注文住宅を建てるにあたりかかる費用や相場を知ることはあまり意味がないと言えます。

というのも、注文住宅は建主さんの「こうしたい」という好みに合わせてオーダーメイドで作る家なので、こだわり次第で大きく費用は変わるからです。

また依頼するのがハウスメーカーなのか注文住宅を専門としている業者なのかといった組織形態や会社の規模などによって金額は様々となります。

とはいえおおよその相場感を知りたいという気持ちはありかと思いますので、坪単価をベースに考えてみましょう。
坪単価とは1坪あたりの建築費がいくらかかるのかを表すものです。

東京都の注文住宅を建てるに際にかかる坪単価の相場は57.4万円となっています。
仮に35坪の家を建てるとなると、54.7万円×35坪=約1900万円となります。

ただし、これはあくまで坪単価をもとに計算した相場であり、住宅メーカーや地域、家の形状、仕様や設備のグレードなどによって変わります。

来客が多いから玄関やリビングにこだわりたい方もいるでしょう。
料理が好きだからキッチンのグレードはそれなりのものにしたいという方もいるかと思います。

繰り返しになりますが、注文住宅はオーダーメイド住宅なので、建主のこだわりが強く反映されます。
こだわればこだわるほど当然費用がかかりますし、費用を抑えようとするとどこかで妥協しなければならない部分が出てきてしまいます。

あくまで相場は全体の平均でしかないので、本当に参考程度にしかならないことがお分かりいただけるかと思います。

大手に依頼するのは安心?

一生の買い物である家。やはり安心できる業者にお願いしたいというのは誰もが思うことです。
そうした気持ちから大手のハウスメーカーに依頼をする方が多いのですが、ネームバリューだけで選ぶのは注意が必要です。

通常、会社の規模が大きいほど経費が掛かるので建築費用が高くなるものです。
ですので、会社が大きいのに建築費が安いのには、それなりの理由があるのです。

それは徹底的な合理化(標準化)と、大量生産・大量販売にあります。

これは悪い事ではなく、どの住まいでも同規格部材を用いるため、建築後の修繕や交換に対応しやすく安心であると言えます。
また、造り方・建て方がマニュアルで規定されるので、職人によって仕上がり精度にばらつきが起きにくくなります。
これにより品質管理や工期の安定化が図られ、コンスタントな運営が可能となっています。

しかし、このような合理化された中で実現できる注文住宅の範囲には限度があるという事です。

ある価格帯の範囲で供給できる住まいにする上で、どんな形状・素材・設備でもなんでも大丈夫!としてしまうと、それは大変なことになってしまいます。
よって、大手のハウスメーカーは一定の枠を設定し、その中で数種類選択できるようにすることで体制と品質を維持しているのです。


「注文住宅」とひと口に言ってもいろいろなレベルがあるということをご存知ですか?

本当の意味での注文住宅は、依頼者の夢に寄り添い、専門家としての知恵を発揮して具現化するフルオーダー
そして設定された範囲の中で選択する、いわばセミオーダー。大手のハウスメーカーの多くはこのセミオーダーという形となっています。

フルオーダーは本当の一点ものです。

セミオーダーは、類似の要素を集め、その枠の中において非常に信頼のできる住まいが実現されます。
ただし、その枠を超える要望、いわゆる“こだわり”を反映させようとすると、生産工程、マニュアル等にはない事であるため、とたんに割高となります

大手は大きな組織を維持するために、沢山の仕事(住宅建築)を手掛けなくてはなりません。
そうすると、同時に膨大な量の住まいを保守管理し続けて行くことも必要となります。
完成後、何か不具合があり、そこにエネルギーがとられてしまえば、たちまち効率が落ちてしまう。

そうならないよう、経年変化が起きにくく、マニュアルの範囲内で対応可能な素材が提案されています。これも一つの日本の技術力と言って良いでしょう。
そういう仕組みの中で実現できる住まいにおいては、素晴らしい品質が確保されます。

これはつまり、大手にとって本物の自然素材、手づくりの素材を用いることが苦手ともいえます
それは、せっかくの生産ラインが活用できず、工事中の手間と時間がかかり、一棟一棟に対してマメなお付き合いが必要となるからです。

木造であれば構造材には安定性の高い集成材、接合部は職人の経験と勘を要しない金物、壁は補修と貼り替えが容易なクロス、床は傷や汚れに強いコーティングされた複合フローリングなどが推奨されます(あくまで基本的な仕様です)。
人によってはちょっと残念に感じるかもしれませんが、それによって担保される要素は大きいでしょう。

長くなりましたが、大手のハウスメーカーには一長一短あります。
検討する前に、あなたが考える「注文住宅」は本当に理想のものにすることができるかどうかをよく確認するようにしましょう。

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2 注文住宅だからこそ考えておきたい費用

先述のとおり、注文住宅はオーダーメイド住宅なのでこだわるといくらでも費用は高くなります。
では、具体的にどのような部分で費用がかかるのか。ここでは注文住宅を検討しているのであれば考えておきたい費用についてご説明します。

●建築素材について

注文住宅が木造の場合、木材費の占める割合が大きくなります。

柱や梁など建物を構成するための部材(構造材)は、木造といっても本物の無垢の材料だけでなく実は集成材が使われているケースが大半であり、ハウスメーカー作られる注文住宅のほとんどは集成材が使われています。

集成材は広く住宅の普及している、強度もあり決して悪いものではないのですが、板材を接着して作られているため「耐久性」を不安視する声があります。
これは、集成材は歴史が浅く、様々な工場実験は行われているものの、現実の住宅における長期的な実績が不足しており、耐久性(=接着剤の耐久性)の根拠が現実的では無く、経年変化に伴い剥離してしまう恐れがあるからです。

木材については、木の種類や太さ、節の有無などで金額が変わります。
見せて使うのか隠れてしまうのか、また節の有無と強度が必ずしも一致しない事などを踏まえられれば、余計なコストを掛けずに済みます。

注文する際はしっかり確認するようにしましょう。
桧などのきれいな材料はより高くなる傾向にありますので、適材適所で活用するという方法も検討してみるとよいでしょう。

●家具について

作り付けの家具にした場合、下駄箱や飾り棚、細かい収納庫など、内装に合わせて作ることができるので統一感を出すことができるだけでなく、格調高いデザインとすることができます。
一方、やはり手作りによるものであるため、造り付けで注文するとどうしても費用が高くなってしまうため悩まれる方は多いです。

作り付けの家具は業者によってはオプション扱いとしており、後から「このくらいかかります」と、高額な金額を言われてトラブルになることもあるため、必ず初めにどれくらいの金額がかかるのか相談するようにしましょう

もし作り付けの家具を検討されているのであれば、知人が集まるなど「人に見られる場所」や長く使う上でストレスになりがちな「機能性を要する部分」などはできれば造り付けた方が良い場所があるということを知っておくと良いでしょう。

生活を続けて行く上で妥協しても良い部分かどうか、少し無理しても長期的にお得かどうかを、業者さんとよく相談しましょう。

パイプやバー材、フック、棚板など、自分でも取付けできる部材がホームセンターにも売られていますので、少しでもコストを抑えた方は検討してみてはいかがでしょうか。

●仕上げについて

仕上げの材料について希望の素材で仕上げることができます。
床の仕上げは、無垢のフローリングやタイル・石類などを選ぶと費用が高くなりがちです。

壁の仕上げについては通常のビニールクロスに比べ、漆喰や珪藻土などの塗り壁や板張り・デザインタイルを選ぶことで高くなります。

こだわりとコストを抑えることについて

注文住宅はこだわりだすととキリがないということはお分かりいただけたかと思います。

「こんなに費用がかかるなら、こだわりは減らすべきなの?」

このように思われた方もいるかもしれませんが、「あなたがどのような想いで注文住宅を建てるか」ということはとても大切な考え方です。

こだわると費用が高くなる理由は、素材自体のコスト以外に現場で木材を作ったりすることで職人の手仕事が増えるからです。要は人件費がかかってしまうのですね。
既製品を使えば当然安く済ませることができます。しかし、できた当初はいいですが、使い始めると劣化が始まってしまうというデメリットもあります。

それに対し、無垢などの良質な木材を使うと比較的高価ではありますが、時間が経つについて「味わい」が現れ、木そのものの良さを堪能することができます

注文住宅に対する考え方はひとそれぞれですが、代々財産として使うのであったり、長年使うことで木材自体の良さを堪能したいという方もいるでしょう。
これが注文住宅に対する「想い」です。

こだわりとコストを考えるときは、優先順位を決め、抑える部分は抑えるというメリハリが重要だといえます。

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3 他にもかかる費用(建具・設備など)

ドアなどの建具類もデザインや素材の希望によって選んだり作る事もできます。
ハウスメーカーなどは一般的には既製品が多いので、選ぶものによって費用がかかります。

設備関係
も希望のデザイン・性能などこだわりの物を注文したり、オーダーメイドで作ってもらうこともできます。
キッチンやバス、洗面化粧台、便器など、メーカーやグレード・機能が様々であり、当然費用にばらつきがあります。

他にも、いわゆるオプションとして扱われているもので、ホームエレベータや空調設備・床暖房、太陽光発電設備、さらには防音設備や防犯設備などの特別な仕様など、必要に応じて初めからから相談しなければならないものもあり、費用のかかり方も様々です。

その他別途オプションとして、照明器具・カーテン類などのインテリア関係、地盤が悪い場合の地盤改良工事、外構・造園工事などもあります。

このように、建築費以外にかかるものは様々です。
人によってかかるものかからないものがありますので、自分のケースは何が必要でどれくらいかかるのかを良く確認するようにしましょう。

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4 工事以外の諸費用

最後に工事費以外にかかる費用についてご説明します。

注文住宅の場合は、普通の住宅とは異なり「設計料」がかかります。
設計料がどれくらいかかるかは業者によって様々ですが、自社に設計士がいる場合で建築費の5%~、外部設計事務所に頼む場合で10%~12%くらいかかります
建築費自体が決して高くないため、依頼する前に必ず確認するようにしましょう。

他に建築をする際に役所に届出が必要となる確認申請費や、高性能を求める場合は性能証明審査申請費などが必要に応じてかかります。

また、銀行ローンを利用する場合は保証料・ローン手数料など、地鎮祭費用(地鎮祭をする場合)、上棟式費用(上棟式をする場合)、建物の登記費用、火災保険料、引っ越し費用や仮住まい費用などもかかります。

家を建てるとなった場合、こうした諸費用のことを忘れてしまいがちですが数百万とそれなりの金額がかかります
建築にかかる費用だけでなく諸費用についてもどれくらいかかるかをシミュレーションし、資金計画を考えましょう。

諸費用については以下の記事で詳しく説明しておりますので、詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
事前に確認しておきたい注文住宅を購入するときに必要な諸費用について

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5 まとめ

注文住宅は、要望・こだわりをいろいろと注文できる反面どんどん費用がかかってしまうことになります。ですので、希望の優先順位をキチンと整理しておくことで「これはそこまでこだわらなくてもいい」という選択をする判断も出来るようになり、費用を抑えることができます。
ですが費用を抑えることばかり考えてしまっても、せっかくの注文住宅なのに…と後悔してしまうかもしれません。

まずはあなたが注文住宅において何を優先したいのか(こだわりたいのか)を整理し、信頼できる業者に予算とともに相談することをおすすめします。

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