マイホームを買うのに貯金がいくら必要かは、住宅取得を考えはじめた方の共通した悩みどころのひとつでしょう。
SUUMOの実施したアンケート調査によると、3割の人が1000万円以上貯金をしてマイホームを購入しています。
一方で、100万円未満も1割以上います。
つまり、必要な貯金について単純に「いくら必要」ということを言うことは難しいということです。
というのも、必要な貯金額は、
- 住宅購入にいくらかかるか
- 金融機関からいくら借りれるか
を把握しないと算出できないからです。
この記事では、これからマイホームの購入を考えている方に向けて、必要な貯金額を考える上で大切なことをお伝えしていきます。
1. 必要な貯金額を知る前に抑えておくべきこと
マイホームを買うのに貯金はいくら必要かを考える前に、知らなければならないことがあります。
それは、これからお世話になる住宅会社や金融機関に支払うべき諸々のお金の存在です。
マイホームの費用は、1)マイホームの代金(土地+住宅、またはマンション)の他に、2)「住宅会社と金融機関に支払わなければいけない諸々のお金」を用意しなければなりません。
そして、そもそも銀行はいくら貸してくれるのか、ということも知っておかなければなりません。
ここでは、そうした必要な貯金を知る前に考えておかなければならないことをお伝えしていきます。
1-1. 諸費用は意外とかかる
諸費用は簡単にいうと
- 住宅会社に支払う費用→建築確認申請の費用や建物の登記費用といったもの
- 銀行に支払う費用→融資契約で掛かる手数料や住宅ローンの保証料、事務手数料など
が含まれています。
以前は、諸費用に含まれる火災保険を返済期間分を一括で契約しなければなりませんでした。
そのため火災保険料の分だけでも、総額はかなり膨らんだものです。
それが現在は火災保険を10年で更新するように切り替わりましたから、諸費用もかなり落ち着きました。
それでも諸費用だけでみても、少なくて大体100万円、多ければ160万円ぐらいは掛かるということは知っておかなければなりません。
1-2. 大事なのは金融機関がいくらまで貸してくれるか
以前は住宅を建てる場合は、最低でもこの諸費用分ぐらいは現金で準備しなければダメといわれていました。
つまり最低でも200万円前後は貯金しておく必要があったわけです。これは現在でも当たらずとも遠からじで、わりとまともな考え方です。
ただマイホームの取得では、肝心の金融機関がいくらまで貸してくれるかが分かりません。
マイホームを買うのに貯金はいくら必要かを知る前に、金融機関が果たしていくらまでなら貸してくれるかが分からなければ必要な貯金額は出ません。
ネットのシミュレーターで3,000万ぐらいまでなら借りれそうという場合でも、実際に借りれるかどうかは銀行の審査が必要です。
仮に住宅ローンの審査で2,200万円までなら貸してくれると銀行が可決した場合は、単純計算であと800万円不足します。
そうなれば計画自体をもう一度見直さなければならないでしょう。
さらに見落としてしまいがちなのは、この他にも引越し代やカーテン、新居に必要な家電や家具を揃えるにもお金がかかります。
余裕を持つなら大雑把に見込んで、あと100万円ぐらいは貯めてからでなければ、なかなか踏ん切りが付かないのではないでしょうか。
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2. 貯金ゼロでマイホームを買うことは基本難しい
貯金ゼロでもマイホームを買えるかという問いも、よく耳にする質問のひとつです。
ここ数年をみても、諸費用も住宅ローンとして貸せることをうたった住宅ローンが登場していますし、物件の100%融資が可能な住宅ローンも出ているようです。
こうした傾向は住宅ローンは審査に余裕があると見られるようですが、そんなことはありません。
諸費用融資や100%融資は、銀行側の誘い水に過ぎ無いからです。
実際貯金ゼロでもマイホームが買えるのは、身内などに支援者がいる方か、いまは少なくなりましたが一部の同業関係者です。
それ以外で貯金ゼロでもマイホームが買えるとしているのは、ステマまがいの一部の人たちよる仕業でしょう。
もちろん息子さんが貯金ゼロでも、親が信用金庫に顔が利くような立場の事業者の方であれば問題なく融資してくれます。
それ以外ですと、収入状況が非常に良く、生活スタイルをあらためることで当月からある程度の貯蓄が見込める人ぐらいでしょうか。
ただそのような方でも住宅ローンを融資してくれるケースは、かなり限られてきているのが現状です。
住宅業者との仮契約や手付金で現金が必要になる
住宅会社と仮契約を結ぶとき、あるいは不動産会社に物件を押さえてもらう場面では仮契約金や手付けを支払うのが普通です。
その金額は一般的には対象物件の10%、また少なくとも100万円は必要です。
もちろんこれらの現金はマイホームの購入資金の一部として充当されますが、貯金がゼロでこれらの分も用意できなければマイホームの契約もできません。
マイホームとは文字どおり「不動産」です。
不動産の契約に一定の現金や印鑑も用意できなければ、そもそも契約する気がない人とみられてしまいます。
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3. 借入可能額を知ることで必要な貯金額をつかもう
ここまでの説明で、不動産の契約に現金が必要なことが理解できたと思います。
次は金融機関がいくらぐらい住宅ローンとして融資するかを把握しましょう。
3-1. まずは借り入れできるか試算しよう
金融機関から借り入れできる金額の簡単な概算はすぐに出すことができます。
借入額を知るには、住宅保証機構株式会社が運営する住宅ローンシミュレーションを使って借入可能額を試算するのがよいでしょう。
そしてポイントは総返済負担率を30%とし、金利は「審査金利」として4.0%を使います。
「総返済負担率」に30%を使い、これに「審査金利」の4.0%使うことで、金融機関が貸し出す額に一番近い値が出てきます。
一応これは覚えておきましょう!
「総返済負担率ってなに?」と思われた方も多いかもしれませんが、総返済負担率の30%というのは年収に対する返済額の割合です。
フラット35では年収に対して総返済負担率は「35%以下で」みることになりますが、総返済負担率が35%というのは年収がもっと高い方(たとえば税込年収で700万以上の方など)が対象になります。
返済期間:35年返済
よくあるケースで考えられる以上の設定でシミューレートをすると、借入可能額は[2,371万円]と出てきました。
つまり年収420万円の方が銀行から借りられる資金は、おおよそ2,400万円前後ということです。
ぜひあなたの年収を入れて試算してみてください。
注意!借金があると借り入れが不利になる
マイホームを取得したい方に注意したいことは、マイホームの取得前に借金を作らないことです。
ここでいう借金というのは、クレジットカードの一括払いを除くすべての借金です。
借金にはカードのリボや分割払いはもちろん、自動車ローンや教育ローンもこれに含まれます。
借金があるとなぜいけないのかというと、総返済負担率にこれらの借金も含めるからです。
そして借金があれば、その分だけ住宅ローンを借りられる額が減ってしまいます。
しかもリボによるキャッシングや分割払いの買い物が多いと、無計画な人と判断されかねません。
それなら借金を早く返してしまったほうが、銀行側の心象が良くなります。
なおクレジットカードのキャッシング枠やカードローンの利用残高は、全く使っていなくても、所有しているだけで借金しているものとしてカウントされてしまいます。
できれば住宅ローンの審査前に、クレジットカードのキャッシング枠とカードローンは解約を申し出ておきましょう。
また自動車ローンを組むのは家を建ててからにしたほうがいいでしょう。
3-2.借入可能額から必要な貯金を計算する
仮に以下のケースから必要な貯金を計算してみましょう。
諸費用:200万
総費用:4,200万円
年収420万円ですと、住宅ローンを借りられる分が約2,400万円ですので、貯蓄で1,800万円ぐらいを準備しなければなりません。
これが中古マンションでもよければ、リフォームに掛かる費用や諸費用込みでも2,700万円から2,800万円でおさまるものがあります。
そうすればあと300万円から400万円を自己資金で用意できれば良いので、計画自体は今すぐではないにしても、比較的早く実現しそうです。
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4. 貯金が少なくても安くマイホームを購入する方法
最後に、貯金が少なくても安くマイホームを購入する方法について考えてみましょう。
4-1. 収入合算によって借入可能額を増やす
借入可能額を増やすにはローン申込み者本人の年収を上げることが第一ですが、これには時間もかかります。
そこでパートナーである妻や同居家族の年収を合算し、世帯年収を上げることをおすすめします。
通常は合算者の年収は半分までしか合算できませんし、合算者の待遇は正社員とする銀行が大半です。ただ合算が可能な場合は借入可能額は確実に増えるので、やってみる価値は十分あります。
4-2. 新築ではなく中古を選択する
2016年ごろから都内のマンションの高騰が進み、かわりに中古マンションを求める方が増えています。この余波は戸建にも影響を及ぼすと考えられます。
新築にこだわらなければ1000万円以上も安く買うことができる場合もあり、マイホーム取得のハードルはかなり下がりますし、人によっては2軒目のマイホーム取得も考えられます。
中古はマイホーム取得のコストダウンの最右翼となるでしょう。
4-3. 新築にこだわるのなら徹底したローコスト住宅を
戸建に限定されますが、最近では徹底したローコスト住宅にも新たに注目されています。
そしてこの分野は今後ますます広がっていくことが予想されます。
新しいローコスト住宅は中古ストックとともに要チェックです。
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まとめ
貯金がいくら必要かは、1)マイホーム以外の諸費用をきちんと把握し、2)金融機関がいくらぐらいなら貸してくれそうかをつかむことがまず必要です。
そうすれば、あとは簡単な足し算と引き算で、必要な預貯金額が出てきます。またそこでは総返済負担率と審査金利という数字がキモになります。
繰り返しますが、審査金利を使うと金融機関が住宅ローンとして融資できる金額に近い数値が出てきますので、ぜひ押さえておきましょう。