
一戸建て住宅に住んでいて、将来的に不安を感じる事といえば階段の上り下りではないでしょうか。
1階から2階、2階から3階の移動に階段を使わなければならない場合、お年寄りの方には足腰への負担が大きくなります。
家の中で最も多い種類の事故は階段事故です。万が一の階段事故を防ぐために、家の中にエレベーターを設置する家庭が増えています。
また、何らかの理由で車椅子に乗って生活しなければいけなくなった方が一戸建て住宅に住む場合も、ホームエレベーターを導入するケースが増えています。
そこで今回は、ホームエレベーターを設置するためにかかる費用や、ランニングコスト、また設置する際の注意点などをご紹介します。設置を検討されている方の参考になれば幸いです。
1 ホームエレベーターにかかる費用
ホームエレベーターといえば高額な贅沢設備だと考える方もいるかもしれません。
しかし、近年はバリアフリー対策や推進とともに、低価格な機種も各メーカーから発表されるようになり、ホームエレベーターを個人宅に導入するということに関して敷居は下がっています。
では、実際のところホームエレベーターの導入に、費用はどの程度かかるのでしょうか。
ホームエレベーターにかかる費用は大きく「設置費用」と「ランニング費用(維持費用)」がかかります。
それぞれについて以下で詳しく見ていきましょう。
1−1 設置費用
設置費用は、大きく分けるとエレベーター「本体価格」と、「設置工事費用」と、「申請費用」の3種類に分けられます。
・本体価格・設置工事費
メーカーが公表している希望小売価格は、「本体価格」と「設置工事費」を合計した価格であることが多いです。
建物の構造が木造なのか鉄骨なのか、エレベーターの種類が油圧式なのかロープ式なのか、エレベーターの広さがどのくらいなのかなど、様々な要素によって価格は変動しますが、一般的なホームエレベーターの場合、本体価格と設置工事費の合計が250万円から460万円程度になります。
ただし、これは新築時にホームエレベーターを設置する場合、または吹き抜けになっている部分に設置する場合の費用です。
すでにある建物を部分的に解体したり、増築したりしてエレベーターを設ける場合はさらに追加の費用が必要になる可能性がありますので確認してみることをおすすめします。
・申請費用
ホームエレベーターを設置するためには、エレベーター専用の確認申請が必要になります。これは、設置するエレベーターが建築基準法に適応しているかどうかを役所で確認してもらうための申請です。
この確認を受けなければ、そもそもエレベーターを建築することができません。
また、建物に増築をする必要がある場合も、その増築部分が10平方メートルを超える場合は建物自体の確認申請が必要になります。
あるいは、その建物が防火地域にある場合も、建物自体の確認申請が必要になります。
これらの手続きにかかる費用は10万円から15万円程度と考えておきましょう。
1−2 ランニング費用(維持費)
ホームエレベーターを設置した後にも費用はかかります。それがランニング費用です。
では、設置したホームエレベーターを使い続けるにはどのような費用が継続的にかかってくるのでしょうか。
・電気代
電気代は、1ヶ月あたり500円から600円程度かかります。これは、1日平均20回程度利用した一般的な金額となります。
当然、頻繁にエレベーターを利用すれば電気代は上がりますし、利用回数が少なければ電気代は下がります。
・法定点検費用
建築基準法第8条によって、エレベーターの所有者は定期点検を受ける義務が生じます。
ほとんどの場合は、そのエレベーターの製造メーカーと購入者が直接メンテナンス契約を結び、その一環として定期的な点検を行います。
この点検にかかる費用は、年間4万円から7万円程度です。
・固定資産税
建物にエレベーターが設置されると、その建物自体の評価額が上がります。
するとそれに伴って固定資産税も2万円程度上昇します。
ランニングコストとは少し違うかもしれませんが、このような側面でも費用がかかってくることを覚えておきましょう。
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2 設置する際の注意点
ホームエレベーターが一般的な家庭でも普及が始まり、高嶺の花ではなくなったとはいえ、決して安い買い物ではありません。
サイズが小さくなれば価格は下がりますが、サイズが小さくなると、付き添いで乗れる人数が少なくなったり、車椅子の大きさによっては入らなくなったり、荷物の上げ下ろしに適さなくなったりなど、サイズを小さくすることによる弊害も考えられます。
ホームエレベーターを設置する際には、どのような用途で使用するのかを明確にしておきくことが大切です。
その上で、それぞれのご家庭に必要な機能性やアフターサービスを考える必要があります。
また、その目的によっては、ホームエレベーター以外のものでも代用ができるかもしれません。
例えば、重い荷物を持って階段を上り下りするのが辛いという場合は、「ダムウェーター」と呼ばれる、荷物だけを乗せられるエレベーターを設置する方法もあります。
これならば100万円以下で設置することも可能です。大規模なホームエレベーターを設置しなくても問題が解決するのであれば、その方がいいですよね。
また、非常時を想定し様々なオプション機能も確認しておきましょう。エレベーターは非常時の人命にも関わる設備なので、費用の節約を考えるのではなく安全性を重視することも大切です。
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まとめ
ホームエレベーターは、リフォームで新たに設置するよりも、新築時に最初から設置する方が費用の面でも手ごろだということで、将来を考えて新築時に採用する家庭も多くなっています。
赤ちゃんや高齢者がいるご家庭や、洗濯や布団干しで大変な奥様方にとっての必需品として導入を検討してみてはいかがでしょうか。