近年、古民家風のリフォームが注目を集めています。
昔の柱や梁などの構造を生かしながら現代的なデザインを取り入れることでとても魅力的な物件へと生まれ変わります。
今回は古民家風のリビングにする上で知っておきたいポイントや、実際に弊社で手がけた事例を紹介していきますので、参考になれば幸いです。
1. 古民家風リビングの考え方やポイント
古民家風のデザインとは、どういうイメージでしょうか?
黒くくすんだ色の太い柱や梁があらわれている、木や漆喰や土塗りの壁などでできているデザインをイメージすると思います。
民家風のデザインにするには以下のような要素を取り入れるとよいでしょう。
- 床は無垢材を使用する
- 真壁造りにする
- 大黒柱を入れる
- 塗り壁にする
- 勾配天井にする
- 天井に板を張る
- 化粧で太い梁を見せる
- 古建具を使う など
中でも古民家の雰囲気を出すのは、構造体(木造)の力強さと黒い色合いを感じられる空間であることです。
日本の古民家は「木造軸組工法」という木の柱と梁を組み上げて建物の構造体を造っています。
骨太な梁、家の中のシンボルとなる大黒柱を配せられた空間は自然の温もりや安心感を暮らしに与えます。
この重厚感のある木組みに合うのが塗り壁仕上げになります。
また、古民家はほとんどが真壁造りですので塗り壁仕上げに適しています。
床材や天井材は本物の素材を感じられるよう、無垢の板を張ることが多いです。
そして、古民家風リビングができてからのインテリアも併せて考えたいところです。
古民家の空間には古くからある民芸的な家具は然ることながら、意外と洋風な家具もマッチします。
洋家具でも古いアンティークなデザインの物は結構古民家風デザインに合いますね。
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2. 古民家風リビングの事例
ここからは実際に古民家風リビングの事例を見ていきましょう。
事例1
こちらは2階リビングのお宅です。
8寸の太さの大黒柱や骨太な太鼓梁、仕上げは漆喰や無垢板張りなど自然素材を使っています。
古民家の木材は囲炉裏の煙に燻され長い年月を経て黒く煤けた色になっていきます。
その雰囲気を出すために柱、梁、天井板は濃い色で塗装しています。
真っ白な漆喰壁とのコントラストが非常に美しいデザインに仕上がります。
これも古民家の魅力の一つだと思います。
カーテンではなく障子を窓に設えたり和風テイストの照明器具を入れたりすることによって雰囲気はさらに民家調になります。
インテリアの面を見るとTV台・テーブルは和調ですが、赤いソファーはモダンな雰囲気です。
白色と黒色で構成されるシンプルな空間であるため赤い色が空間のアクセントになり、より全体が引き立ちます。
事例2
こちらは平家建てのお宅です。
尺角を超える欅の大黒柱を3本使用しており、かなりの存在感です。上の住宅に比べて色彩は穏やかにしています。
表している構造部材は数量、太さ、間隔、梁の曲り具合や重なり具合など、微妙な設定によって表情が変わります。
立派な木材が使われているというだけでなく、木組みの構成の仕方によってもその美しさや存在感が決まってきますので、大工はもとより設計者の経験が重要な要素になります。
この住まいは、まずそのロケーションが素晴らしく、屋外に広がる緑の眺望を活かした設計としています。
おおらかな眺めと繋がる様に、自然な木と漆喰の空間を構成しました。
ちょっと分かりにくいですが床には無垢の桧無節のフローリングを採用し、深みを重ねてゆく味わいが楽しめます。時間を掛けて成熟する豊かさも、こうした住まいならではと言えるでしょう。
事例3
古民家風は曲った梁のある空間だけではありません。
こちらのお宅は独立した太い柱と角梁で構成されており、周囲の壁には柱を表しにしないいわゆる大壁の納まりとなっています。
シンプルな壁面の中に構造部材を象徴的に配している点が、上の2例と異なります。
直交方向のみの構成は少しカチッとした印象になりそうですが、壁に採用した漆喰が落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
やはり障子を設えたり無垢の板張りや漆喰壁などで仕上げると、洋間のリビングが古民家風の素敵なデザインになります。
また、背景のグリーンが空間に本当によく合います。インテリア空間だけで無く、エクステリアデザインも同時に計画できるとステキですね。
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3.まとめ
古民家らしさは、基本的に古色の色合いによるエイジングの表現であったり、太めの構造材を用いたり左官仕上げの塗り壁や無垢の板張りなどで仕上げたり、木部を濃い色で塗装することができればより雰囲気が良くすることができます。
窓まわりには障子の方が良いですが、和調のスクリーンなどでも良い雰囲気を出せるでしょう。
建具はデザインして作れると良いですが、骨董店や古民具店で掘り出し物を探すのも手です。家具や照明器具でも大きく雰囲気が変わります。
余り凝りすぎず、バランス良くシンプルに素材を活かし、調度品などで長く楽しむのも良いでしょう。