玄関への外部アプローチやお庭、カーポートにフェンス…。
新築やリフォームした際、仕上げとなるのが外構工事です。
つい建物やインテリアに意識が向きがちですが、外構もいわば家の「顔」。
建物に見合ったクオリティで作り上げられると良いですね。
そこで今回は、外構工事にかかる費用の相場について、項目ごとにご紹介していきます。
さらに、少しでも安くするためのポイントについてもお伝えしていきます。
外構も含めた資金計画を練って、バランスの良い家づくりを目指しましょう。
【部位別】外構工事費の相場
ここではざっと部位別にどれくらいの費用がかかるのかを見ていきましょう。
整地・アプローチ
玄関までの距離や段差の有無、舗装材等によって変わってきます。
例えば幅1.5mで延長5m程度を磁器質タイルで仕立てる場合、フラットなアプローチなら20~30万円程度、高低差があってバリアフリーを考慮したスロープ仕様や階段を配置するなら、手摺りも含めて40〜50万円ほどの予算を見ておくと良いでしょう。
コストを抑える場合は左官仕上げを採用すると良いでしょう。アクセントに玉砂利をポツポツと埋め込んでみると少し彩りになります。
門周辺
来客が必ず通る、まさに家の「顔」となるのが門まわり。
費用の相場としては、最もシンプルな門柱と門扉のみのスタイルなら15万円から、インターフォンやポスト、門灯を組み合わせたシステムタイプなら30万円程度が一般的です。
ここで価格に大きな差が出るのは、機能の部分。
デザインの要となる門扉本体は、概ね10〜15万円の範囲で様々なバリエーションの中から選べます。
予算を削る場合、機能部分を造作塀に組み込むか、門扉とセットに出来るユニットにするかを検討してみるのもアリです。また考え方によっては門扉自体を設置しないオープンな設えもありますが、根本的な方針に関わってきます。建物とのデザインバランスも考慮し、是非楽しみながら納得の門まわりを描いてみてください。
フェンス・塀
隣地や道路との境界線に設けるフェンスや塀は、用いる箇所や目的によって価格にも大きな差が出てきます。
街で良く見かける化粧ブロック(コンクリートブロックの表面にラインなどのデザインが施されたもの)3段積みにアルミのフェンスを載せる場合だと、長さ10m程度で30万円〜。下段ブロックを普通ブロックにしてモルタル下地に化粧塗り仕上げ等だともう少し掛かって40万円〜といった感じでしょうか。尚、塗り仕上げにする場合は下地処理についてしっかり理解して判断するようしましょう。
また、背の高い塀で敷地を完全に覆うスタイルだと100万円以上かかるケースが一般的です。
背の高い塀は、材料費だけでなく倒れ止めの補強や強度のある基礎工事も必要となり、その分コストが割高になりますが、風格が出ます。
規格型のフェンスはコスト面だけでなくデザインや機能・維持管理面でもおすすめの外構パーツです。
目隠しと通風を兼ね備えた機能的なルーバーデザインから温かみのある木目調など多様なスタイルが揃うアルミ形材タイプ、オーガニックな曲線デザインが優美な鋳物タイプ等、豊富な選択肢の中から好みや目的に応じた選定が可能です。
更にコストを削りたい場合、道路面については建物を完全に囲わずに部分的な設置でデザインする考え方もあります。更に進めて植栽だけで彩るオープンプラン(昔風に言えば生け垣)にすれば、お好きならご自身で植え付けやお手入れを楽しみながらコストカットにつなげる事も可能です。建物が明るい雰囲気に見せられるというメリットも生まれます。これらは意識的な仕切りとする考え方で、他人の侵入を阻止するものではなくなります。一方隣家との境界であれば化粧の無い普通ブロックを設置する程度にしたり、アルミでは無くスチールのメッシュフェンスにすると、より安価です。スチールと言ってもすぐに錆び付いてしまう事はありませんので、つる植物を這わせたりプランターを引っ掛けやすくなります。
このほか隣家との関係にも依りますが、ブロックを低く積んで終える事もあります。
駐車・駐輪スペース
マイカーを駐めておくスペースは、車を雨風から守り建物のデザインを邪魔しない、そして入出庫にストレスのない仕様にしておきたいものです。
予算に応じて地面の舗装のみやガレージの建て付けなど、駐車スペースの在り方も様々ですが、ここでは一番人気のあるアルミ製カーポートについての相場をご紹介したいと思います。
透明な屋根のカーポートは、車1台用で25〜35万円、2台用で50〜70万円という価格帯が相場です。
大屋根のカーポートであれば自転車数台分の駐輪スペースも確保できますが、10〜15万円ほどで造れる3〜4台分のサイクルポートもあります。
ちなみに駐車・駐輪スペースをコンクリートで整地する費用も、概ね15万円ほど見ておくと良いでしょう。後からカーポートを建てられる様、柱の設置位置を空けて砂利やタマリュウなどを詰めておく考え方もあります。
テラス・サンルーム
リビングルームとひと続きに作れば部屋自体も広く見せることができるテラスやサンルームは、半屋外の「第二の部屋」として人気の高い空間です。
アルミ製の規格品で屋根付きのテラスやサンルームの場合でも50万円前後という価格で作ることができ、部屋の増築より手頃であることから注目度も上がっています。
なお、ヨーロッパの邸宅のような完全室内にできるユニットタイプのガーデンルームだと、100万円ほどで取り付けが可能です。
ただしガーデンルームの場合には法律で設置条件が定められているため、あらかじめ施工業者に条件を確認しておきましょう。
一般的には、ユニットの窓から敷地境界線までの距離が1.5m以上あり、かつユニットの間口(幅)が2m以上あれば、外構工事としての設置が可能なケースがほとんどです。
ちなみにシンプルなウッドデッキであれば、25万円前後が費用の目安です。
庭
もしも玄関前に庭を配置したプランなら、最もデザインにこだわるべきポイントとなるでしょう。
テラスと一続きにした庭であれば、100万円ほどかけると、芝生や石・レンガを敷いたり植栽を植えたりと、建物の一部としてデザインされたような庭を作ることができます。
外灯
玄関アプローチが長い場合には外灯を点在させておくと、安全面・機能面ばかりでなく雰囲気もアップさせることができます。
センサー付きのLEDライトにしておけば、導入後のランニングコストも抑えられます。費用相場は15〜20万円ほどです。
植栽
お庭やアプローチとセットでの施工するパターンの多い植栽ですが、シンボルツリーなどは単体で計画しても良いでしょう。
5万円〜10万円ほどの間で、全体のバランスを見て配置していきます。
外構工事の概算費用は、建物にかける金額の1割が相場とされています。つまり2,000万円の家なら約200万円程度は見ておきたいところです。
60年以上本物の注文住宅にこだわり続けた
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コスト削減のポイント
屋外の風雨や衝撃に耐え得るしっかりとした素材を使う外構工事は、デザインにもこだわると費用は積み上がってしまいがちです。
大きくコストカットするには、使う素材を変えるか、DIYをするかが有効と言えるでしょう。
さらに言うと、素材に関しては同じものを広く複数箇所に使い回せば仕入れも一括で済むため、よりお得に工事を進めることができます。例えば石やレンガ、焼き物系のブロックや床タイルであれば、玄関アプローチやカーポート下、庭部分などに共通で使える上、デザインにも統一感を出すことができます。素材とその構成はなるべくシンプルにしたいものです。
ただし、素材のクオリティをあまりに下げてしまうと耐久性などに問題が出てくる事があります。ある程度素材の性質を確認しながら検討して行くとよいでしょう。
DIYは建物の引渡しが済み入居してからでも進められ、施工箇所によっては季節ごとに変化もつけられる外構工事だからこそ挑戦できる方法です。
あえて一度での完成を目指さず、家族で希望を出し合いながら低コストとオリジナリティを両立・追求するのも、外構づくりの一つの手段です。
植物はお手入れが必要になりますが、バランス良く採り入れるとビジュアル的に大きな効果を発揮してくれます。例えば土間をシンプルなコンクリート直金鏝押さえにすると、ちょっと無骨で年月と共に少しずつ黒ずんで来ます。ですが土間脇のグランドカバーも育ちこなれてくると、古びた味になります。
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部位別の費用を抑える方法
部位ごとに見ると様々な方法で費用を抑えることができます。ぜひ参考にしてみてください。
■整地・アプローチ
- コンクリートの化粧を凝らず、直仕上げやモルタル仕上げを採用する
- コンクリート打ちをする部分を必要最小限にする
- コンクリートの代わりに敷石や平板を手配し、飛び石風に設置する
- 砂利をホームセンター等で自分で手配し、敷き詰める
■門周辺
- 門扉を設けない
- 表札や門柱の機能を兼ねた門扉と一体ユニットを採用する
■フェンス・塀
- ポイントとなる箇所にのみ取り付ける
- 高い塀ではなくフェンスを組み合わせ、その中でもシンプルなデザインのものを選ぶ
- 隣地との境界など、外からあまり見えない部分にシンプルなメッシュタイプを設置する
■駐車・駐輪スペース
- カーポートの大きさを必要最小限にする。
- カーポートを後設置できる様な余白を設けておく
■テラス・サンルーム
- デッキは下地の土間打ちだけやってもらい、DIYに挑戦する(ウッドデッキにする場合、耐朽性に優れたウリンやサイプレス、或いは厚みのあるスギの赤身材、シダーなどを選ぶと良いでしょう)
■庭
- 自分でガーデニングを行う
- 素焼きレンガや木レンガ、川石などを活用し、地面に敷いたり縁取りに使う
■外灯
- ネットや量販店で気に入ったデザインのものを手配し、施主支給とする(ポール灯など設置が重厚になるものは、保証の問題等あるため注意しましょう)
- 杭タイプのソーラー式の外灯を自分で購入・設置してみる
■植栽
- ガーデニングショップやフラワーショップ、植栽の卸店などに出向き、自ら仕入れる。
- 苗を自分で植え、敷地の中で育てていく。
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まとめ
外構工事にかかる費用と安く抑えるポイントについてお伝えしました。
これらの内容をふまえ、建物や敷地全体とバランスのとれた素敵な外構を作り上げてください。