吹き抜けの寒さ対策を考える上で非常に重要なポイントについて

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家の中に吹抜けを設けると開放感が出る一方、「冬は寒い」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

吹き抜けによって寒くなる理由は、空間が広くなると暖房能力がそれに見合わず効果が弱まってしまうことが挙げられます。また暖かい空気は上に、冷たい空気は下にたまる性質があるため、吹き抜けを暖気が上昇してしまうと足元が冷えてしまいます。

旧来の住まいでは家自体の断熱性能が低かったため、上記の様な現象がどの住まいでも起きていました。

しかし現在は家づくりの技術が向上し、計画時の工夫次第では吹き抜けによる寒さは解消されるとともに、逆に快適性を高める要素となります。

今回は、「これから新築を建てる予定だけれど吹抜けによる寒さが心配」という方に向け、寒さ対策と共に、更なる快適性を生み出す考え方についてお伝えします。

1.寒さ対策と快適性を生み出す3つのポイント

ここでは吹き抜けのある住宅に対し、どのように寒さ対策をしてゆけば良いのか、そのポイントをお伝えします。

1-1.断熱性能をしっかり確保する

まず一つ目は、単純に外壁や屋根、床下の断熱性能をしっかり確保することです。

冬の時期でも、屋外の冷たい空気が家の中に入らず、また屋内で暖めた空気が流出しなければ、寒いと思うこともありませんよね。

冬の寒さは地域によって異なりますが、その環境を踏まえながら断熱対策をしっかり施すことが大切なのです。

また、窓に対する配慮が重要なポイントとなります

住宅において、冬に室内の暖気が逃げる原因の約6割が窓であると言われるほど、寒さの原因は窓にあります。

最近の住宅はペアガラス窓が当たり前になりました。しかしそれでも屋根や外壁に比べると窓の熱損失のほうが大きくなります。

よって窓の断熱性をしっかり考えることが、室内の寒暖差解消の大きな効果につながります。

1-2.断熱レイヤーを設ける

1-1の断熱性能を考慮した上で、昼と夜とで制御可能なインナーレイヤー(スクリーンやカーテン)を設けることも効果的です。

冬期であっても、日中天気が良ければ外の光をなるべく室内に採り入れたいものです。

しかし、陽が落ちれば屋外の冷気からの影響は大きく、吹き抜け上部に窓がある場合はより顕著となります。

そこで、昼と夜とで入ってくる光や冷気を調整できるものを設置することで快適に過ごすことができるのです。
そのためには、断熱性のあるスクリーンやカーテンを設置するのが良いです。

吹抜けや階段等の窓の内側に設けることで、日中に取り入れた熱が夕方以降に逃げることを抑えてくれます。
これは主にインナーレイヤーと窓との間に作り出される空気層が持つ効果を利用するもの。特にスクリーンの場合は周囲に隙間が生じない様に塞ぐガイドレールがつけられるものもあります。それを設ければ背面空気層の流動を抑制できるため、更に効果が上がります。

吹き抜けの形状や操作性を考慮して障子を採用するのも良いでしょう。和紙に代わる断熱性のある素材もありますので、お好みに合う様でしたら思い切ったイメージチェンジになるかもしれません。

リフォームの場合であれば、インナーサッシを設置するのがおすすめですが、出入りの使い勝手や枠の納まりなどは確認する様にしましょう。

1-3.空気を動かす

「空気を動かす」というのは、暖房した熱を効率良く循環させることです。

熱を循環させることにより部屋全体を無駄なく暖めることができます。

サーキュレーターやシーリングファンをなるべく高い位置に設置し、上に溜まった暖気をかき混ぜることで室内温度の均一化を図ります。
一般的に冬場は天井付近に溜まった暖気を散らす様に、上向きの送風が良いと言われます。夏場にも活用したい場合は逆回転も可能な製品を選ぶと良いでしょう。

最近は全方位的に送風可能なサーキュレーター(扇風機)が安価に入手できる様になりました。
また気流制御に優れたエアコンも出てきており、リフォームの場合も含めこういったものをうまく利用するのも良いでしょう。

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2.更なる快適性を生み出す考え方

1で述べた内容を踏まえながら空間計画に熱の流れを組み込むと、吹き抜けは住まいの快適性を高める重要な装置になります。

そのためには、ただ吹き抜けを設けるのではなく、住戸内の立体的な繋がりを考慮することが重要になります。

住戸内にはリビングや個室、水回りなど様々な空間が隣り合います。従来そうした部屋はそれぞれ独立し、廊下を介して並べられているのが普通でした。
このため、断熱に配慮した家でも暖房している部屋以外は温度が低くなりがちでした。

これを部屋ごとのプライバシーに配慮しつつ、部分的な吹き抜けや可動性の間仕切り等を用いながら連続性を持たせることで、快適性を確保することができる様になります。

ここでは詳述しませんが、屋外との繋がりにも配慮すると有効です。

これによって吹き抜けが“寒さをもたらすもの”から“温度差を生じさせないもの”、いわゆる「暖かさをつなぐ空間」として位置付けられるようになるのです。

ですが単純に平面的に繋げればいいということではありません。

上下階や北と南(日向と日陰)、昼と夜の違い等によって生じる熱の流れを考慮し、周辺環境に基づいた季節ごとの太陽高度、風の流れにも目を向けなければなりません。

さらに言えば、建物の配置計画、軒や庇の深さ、窓の設置位置のほか、外構計画も同時に考慮して行くと、吹抜けが非常に効果的な役割を担うようになってくるのです。

この様な考え方を「パッシブデザイン」と言いますが、実は日本の伝統的な住まいでは、この考え方が多分に含まれていました。

現代は住まいづくりの技術が格段に進みましたので、古き良き日本の知恵を応用しながら更に高度な住まいづくりが可能です。

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3.まとめ

しっかりとした断熱対策と空間構成のデザインによって、吹抜けも住まいの快適化に大きく寄与する要素となります。

その実現は単純には行きませんが、うまく採り入れることで冬だけで無く1年を通じて快適かつ省エネな暮らしが実現可能となります。また従来の住まいで起こりがちだったヒートショックの抑制も実現します。

計画する地域や環境によって様々ですが、ご興味のある方はぜひ専門家とその可能性について相談し、単に寒さ対策のシェルターではない、豊かさのある住まいを手に入れていただきたいと思います。

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