注文住宅などの建築にあたり、土地探しは家のデザインにも影響する重要な要素です。
しかし良い土地に出会っても、いざ購入、契約となるとその手続きの煩雑さに不安を覚える方も多いのではないでしょうか。
土地の売買手続きは物品の売買と異なり、購入の意思表示をした際に契約が発生するわけではありません。
意思決定の後、様々な書面の取り交わしを経て初めて契約となります。
大きな買い物だからこそ、契約に至るまでが難しい一方で「思っていたものと違った」と途中で引き返すのも大変なようにできています。
契約関係の書類にはすべて目を通し、トラブルなどの出ないように慎重に決定しましょう。
※土地の選び方については以下の記事で詳しくご紹介していますので、併せてご覧ください。
土地を購入する前に確認しておきたい注意点について【環境編】
買付証明書の提出
売り主への意思表示ですが、土地購入の場合には「買付証明書」の提出をもってして行います。
書類は「購入申込書」や「買付申込書」というタイトルの場合もあり、いずれにしても記載内容の多くは下記の通りです。
・土地の購入希望価格
(あくまで希望価格。売値を下回る金額を提示することも可能です。)
・契約時期
・引き渡し予定日
なお、この買付証明書ですが法的な拘束力のある契約書類とは異なり、土地の購入権を証明するものではありません。
あくまでも買主の購入意思を示すことが目的であり、いわば「予約票」のようなものですので注意してください。
そのため、売り主の都合で売買が中止されることも考えられますし、裏を返せばこちらの購入の意思がなくなった際、撤回することもできます。
ちなみに物件の購入権利は、買付証明書の提出後、売り主に書類が受理されたら得る事ができます。
街中で不動産会社の店頭広告を見ると、物件の欄に「商談中」というラベルがかかっていることがありますが、あれは誰かが提出した買付証明書が受理された状況と見ることができるのです。
買付証明書が受理されない場合というのは、複数の買付希望者がいて、他の希望者の提示した条件が良かった場合や、競合相手がいなくても金額面、契約・引渡し時期で折り合いがつかない場合などが考えられます。
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住宅ローンの事前審査
自己所有の住居を建てるための土地の購入代は、住宅ローンに組み込むことが可能です。
土地購入に住宅ローンを利用する場合、土地の目星がついた時点で、早めに銀行にローンの事前審査を申込みましょう。
なお、土地と建物両方の担保評価をするため、事前審査には建設予定の住宅の図面と見積書、そして場合によっては工事請負契約書や建築確認済書の提示が求められます。
土地購入に関しては、ローンを建物とセットにして組む方が非常に多くなっています。
建物と分けてローンを組んだ場合には、先に審査に出した土地はローンを組めて、後で申請した建物のローンが審査に落ちてしまうという危険性があるからです。
ただし住宅ローンに土地の代金も組み込む場合、図面等の準備を含めたスケジュールが非常にタイトになりますので注意してください。
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宅地建物取引士による重要事項説明を受ける
不動産の売買契約では、契約前に「重要事項説明」を専門の有資格者から受け、内容に承諾してから初めて契約となります。
「重要事項説明」とは、該当する不動産の契約内容について、専用の書面を前にひとつひとつ読み合わせをしていく行程のこと。これは法律により義務付けられており、説明担当者は、不動産売買を行う宅建業者の宅地建物取引士の資格を持つ者と定められています。
宅建業者に説明責任が課されている重要事項とは、例えば以下のような内容です。
・土地の購入代金の授受方法
・登記簿への記載事項
・都市計画法・建築基準法等による制限
・契約解除の際の取り決め
「重要事項説明書」に記載される内容は、法律用語を含め内容が難解であることが多いため、事前に売り主に要点だけでも確認しておくと良いでしょう。
もちろん当日の説明の際にはきちんと内容を理解しながら読み進め、疑問点を残さないことが大切です。
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いよいよ不動産売買契約へ
重要事項説明を受けて土地の売買契約を交わした後には、契約書の記載内容に基づき、売主・買主の双方がそれぞれの権利や義務を履行することが法律で定められています。
この段階では、買主としての義務に違反すると違約金の支払いが必要になる場合もありますので注意してください。
契約にあたっては、土地売買契約書の内容の入念な確認が重要です。
特にローンを通過しなかった場合や支払い期日を過ぎた場合に契約が解除されるかどうかなど、金銭面での事項を優先的にチェックすることをおすすめします。
工事内容に関する特記事項があるかどうかも、契約書を丁寧に読み込んでいきましょう。
「売買契約書」の記載内容は、先ほどご紹介した「重要事項説明書」と重なる部分が非常に多くなっています。よって、これらの2つの書類をよく照らし合わせ、同じ項目にて違いが出ていないかも見ておく必要があります。
売買契約書に署名・押印したら、撤回はできません。すべての内容を熟読し、十分に納得・理解した上での署名・押印を徹底しましょう。
契約を交わす際、必要なものは以下の通りです。
【土地売買契約に必要なもの】
- 手付金(売買価格の10%が基準)
- 実印
- 仲介手数料(売買価格×3%+6万円【土地代金が400万以上の場合】+消費税)の前金
- 収入印紙代(売買金額によって金額が異なります)
- 身分証明書(運転免許証など)
契約で手付金を支払った後は、土地の引渡しを受ける前までに諸費用の支払いを済ませる必要がありますので、それについても見ていきましょう。
まず土地代金の残金。契約時に10%の手付金を支払ってあるので、残りの9割の金額を用意します。
所有権移転に付随する諸費用の用意と登記の申請も、忘れてはならないステップです。
これらを完了しないと土地の引き渡しが受けられず、その後の工事にとりかかることができません。
土地売買契約書にはその他にも、「引渡し」「代金全額の受領」「所有権移転手続きの完了」など、節々のタイミングごとに手続きに関する取り決めが記載されています。
契約書を参照しながら、取り決めと現実の状況に相違がないかを随時確認しましょう。
そして、土地の売買契約後、引き渡しの前に必要なものは以下の通りとなります。
【引渡し前に必要なもの】
- 土地代金の残額
- 所有権移転登記費用(固定資産税評価額×1.5%)※司法書士に依頼する場合+5万円前後
- 固定資産税、都市計画税などの精算金
- 仲介手数料の残金
- 印鑑
- 住民票
なお、土地代金を住宅ローンに組み込んだ場合は、契約~引き渡し前までの段階で以下のようなものも必要です。
- 融資事務手数料
- 保証料
- 各種保険料(火災保険など)
- 抵当権設定費用(司法書士報酬など)
- 印鑑証明書
- 通帳
以上のようなプロセスを経て晴れて引渡しを受けたら、「引渡し確認書」を受け取ります。
この「確認書」は、文字通り土地の引渡しを完了したことを確認するもの。
自分の名義への変更が反映された土地の「権利証」は、登記申請の受理後に発行されますので、後日追って発行されます。
契約については土地を購入する際の注意点について【契約編】でも詳しく触れていますので、こちらも併せてご覧ください。
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まとめ
購入から契約まで、土地の購入には様々なプロセスを通過する必要があることがご理解いただけたと思います。
土地の売買契約の流れは、
【買付証明書の提出】
法的効力はなく、予約証明のようなもの
↓
【住宅ローンの事前審査】
建物と別々にローンを組むのは不利。
建物の設計も完了させる必要があるが、土地購入前にセットでの融資申請がおすすめ
↓
【宅地建物取引士による重要事項説明】
契約内容に係る、事前に交わす書類。業者に入念に内容の確認を
↓
【土地売買契約書への調印】
手付金の支払い。書類の内容とサインには最後の注意を
をもって完了となり、その後に残金の支払いと土地そのものの引き渡しとなることがわかりました。
夢の注文住宅を手に入れる第一歩として、納得のいく土地探しと契約をしてくださいね。