リフォームや家を建てるとき、様々な床材がある中で一般的にはフローリングを選ばれると思います。
そのとき、複合(合板)フローリングにするか無垢フローリングにするかで迷われ、どちらがいいのか相談される方が多くいらっしゃいます。
複合フローリングは薄くスライスした木の板、またはプリントシートを接着剤で貼り合わせたものであり、大量に生産できるため安く抑えることができます。
一方、無垢フローリングの無垢は字の通り「純粋無垢な木」。自然の木そのものを表しており、一本の木から角材や板を切り出したものをいいます。
ここでは無垢材フローリングのメリットとデメリットについて解説していきので、ぜひフローリングの素材を決める参考にしてみてください。
1 無垢材フローリングのメリット
最初に無垢材フローリングのメリットについて解説します。
ここでは無垢材が持つ特徴とともにおすすめポイントを紹介していきます。
木の暖かみや優しい肌触りを感じることができる
「木のぬくもり」という言葉を耳にするかと思いますが、やはり自然の木には暖かみがあります。
しかしながらフローリングでも冬に「ヒンヤリ」とした冷たさを感じたことはありませんか?
実は合板を主体とした複合フローリングの場合、薄くスライスされた樹木が積層されるため、木細胞や空気層の重層した繋がりが断ち切られています。また接着剤により硬化されているのと、表面に特殊保護被膜が施されているケースもあり、あの「冷たい感じ」になってしまうのです。
これに対し、無垢材は一定の厚みの中に含まれる細胞や空気層の連鎖により断熱効果を持ちます。
また、木本来の弾力性(柔らかさ)も相まって暖かな特徴を持ちます。
同時に自然素材の調湿力もあり、冬に足元が冷たくならないだけでなく、夏はさらっと快適な足触りを感じることができるのです。
湿気対策や結露防止になる
室内の空気というのは乾燥しすぎても湿りすぎても良くありません。
無垢材には湿気を吸ったり吐いたりする「調湿作用」があります。そのため、湿気対策や結露の防止に役立ちます。
フローリングを長持ちさせることができる
無垢材は合板のフローリングにありがちな年月が経つにつれて劣化したりフカフカしてくるということがありません。
繰り返しになりますが、合板のフローリングは1㎜に満たない薄い板を接着剤で重ね合わせて作られています。
環境によっては年月の経過とともに接着強度が弱まり、積層された極薄の一枚一枚が湿度などの影響に耐えることが出来ずにたわみ等が起こります。
これが床がフカフカしてしまう要因です。
また表面材が極薄の板であるがゆえ、歩行等による摩耗で擦り減り、下地が見えてしまう事があります。
これを回避するために強度の高い表面塗膜剤が施され、素材感に乏しいものとなってしまっています。
無垢材は一本の木を切り出したものを使用しているため、こうした心配はありません。
物を落としたときに「落下痕」が付きやすいという点がありますが、無垢材は時とともに色艶のエイジングが進み、それとともに多少の傷や凹みを年月の味わいとする許容力があります。
つまり、内部まで無垢が詰まっているものと、表面にのみ張り付けられているものとでは、傷によって受ける危うさの度合いが全く異なるのです。
年月による木の独特の味わいを感じることができる
無垢材フローリングは傷や凹みがあってもそれは味わいのあるものとするとお伝えしましたが、塗装がされていたとしても年月を経るごとに徐々に焼けが生じ、当初とはまた違った独特の風合いになります。
こうした変化はデメリットととらえる場合もありますが、この年月による「味わい」というのは無垢材ならではのものでしょう。
・木の暖かみや優しい肌触りを感じることができる
・湿気対策や結露防止になる
・フローリングを長持ちさせることができる
・年月による木の独特の味わいを感じることができる
60年以上本物の注文住宅にこだわり続けた
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2 無垢材フローリングのデメリット
無垢材は変形が生じる
木は呼吸すると例えられるように、周囲の湿度環境によって吸放湿するのですが、その際に反りやねじれが起きます。
これにより、例えばフローリングを無垢にすると、隙間が空いてしまったり反りが生じるなど、形状や寸法の変化が起きてしまうことがあります。そのため、安定性という面では合板と比べて見劣りしてしまいます。
無垢材は乾燥が不十分だと割れやねじれ、反りなどが起きることがあるため、乾燥を適切に行い、木材の含水率を一定以下に保つが大切です。
基本的にそうした処置が行われて出荷されているのですが、やはり限度があるため、一定の変形が起こる可能性を持ちます。
フローリングに無垢材を採用することを考えている場合は、これらの点を抑えておかなければなりません。
価格が合板よりも高い
なんとなくイメージされている方も多いかと思いますが、やはり無垢材は複合よりも高価です。無垢材を検討している方はやはり価格がネックになるのないでしょうか。
ではなぜ無垢材のフローリングは複合と比べて高価なのでしょうか?
先にも書きましたが、無垢材は合板と異なり原木から切り取ったものをそのまま使用するため木を贅沢に使います。原木から使用できる量に限りがあるため、1枚あたりが割高になってしまいます。合板は極薄にスライスした材を利用するため、1本の原木から大量の面積を生産する事ができます。
また、木の部位を見ながら材料取りを行い加工する事や、変形を生じにくくするため乾燥処理に気を遣うなど、相応の手間がかかるという点も挙げられます。
大量生産の複合とは異なり、このように素材自体に価値があることと、人の手がかかるという2点から無垢材は高くなってしまうということなのです。
無垢材を使用する場合、家全体に使うと価格が..というときは、居間や寝室のみなどよりこだわりたい部分を無垢材に、それ以外は複合というように使い分けることで費用を抑える工夫があります。
また床暖房対応の無垢フローリングは、形状安定性のためより高度な処理が必要となり、全般的に高価になります。床暖房を検討している方は注意が必要です。
床の傷や汚れが気になる
無垢材の場合、傷や凹みがあってもそれは「味わい」として感じることができるとお伝えしましたが、やはり人によっては気になる方もいらっしゃるかと思います。
特にペットと同居したい方にとって、床の傷、汚れへについては懸念があるでしょう。
無垢材の場合、よだれ等の対処を考えておく必要があり、まめなふき取りと同時に定期的なワックス掛け等も考慮が必要です。
また、トイレや台所に無垢材を採用した場合には、美観と快適性を保持する為にまめなふき取りなどが基本的に必要になります。
ただし、全体的に無垢フローリングを用いつつ、トイレや台所だけはウレタンなどの表面処理を施すことで面倒を緩和させる考えもあります。
積層材による複合フローリングには、様々な表面処理が施された商品があります。表面強化処理(耐衝撃や耐摩耗など)や防汚処理(汚れ除去しやすい)が施されているものは非常に効果的な機能を発揮してくれ、場所によって使い分けても良いでしょう。
・無垢材は変形が生じる
・価格が複合(合板)よりも高い
・床の傷や汚れが気になる
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3 まとめ
無垢フローリングは、基本的に合板等の加工材より価格が高く、変形が生じやすいというデメリットがあります。
しかし、無垢材は何と言っても本物の素材感や肌触りの良さ、そして合板より長持ちし調湿作用があるなどのメリットも大きいといえます。
予算との兼ね合いもあるかと思いますので、合板と無垢材を場所によって使い分けることでコストを抑えることも可能です。
どちらにするか迷っている方は、これらのメリット・デメリットを考慮し、優先順位やどのような家にしたいかという理想を決めていくと良いでしょう。