建築のプロが教える木造住宅のメリットとデメリットについて

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鉄筋コンクリ-トや鉄骨造といった、木造以外の構造が住宅に使われるようになって、かなりの期間が経ちますが、日本ではまだまだ木造住宅が大半を占めています。

「新たに建築される住宅は、鉄筋コンクリートなどの方が多いのでは?」と思われるかもしれませんが、実は現代でも新規着工の住宅のうち55.5%は木造住宅です。

(平成27年度)半数以上が木造で住宅を作るのは、「木」という材質の持つ様々な特徴が関係しています。

木ははるか昔から、人々の生活をあらゆる角度で支えてきた素材です。
住居に関しても例外ではなく、旧石器時代から、竪穴式住居に木は用いられてきました。
これだけ長い間、人に愛され続けてきた木という素材のメリットとデメリットについて、ご紹介します。

木造住宅には、柱と梁で組む構造の「木造軸組工法」と、決まった大きさの材料を組み合わせて釘で留める「木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)」の二種類がありますが、ここでは主に「木造軸組工法」について説明します。

1.木造住宅の3つのメリット

1-1.木は人にやさしい

「森林浴」という言葉があるほど、木には生物をリラックスさせ、安心感を与える効果があります。
人は、古くから木材に囲まれた生活を送ってきたため、本能的に木がまわりにあると落ち着くのです。

また、鉄骨などに比べて断熱性に優れているため、「夏は涼しく、冬は暖かい」といった、より心地よい家づくりをすることができます。

さらに、木材は高い吸放湿性を持っています。吸放湿性とは、湿度が高ければ水分を吸収し、湿度が低ければ水分を放出するという、湿度の調節機能です。そのため、梅雨の時期でもベタつかず、冬の時期も過乾燥を防ぐなど、快適性を保つ効果があります。

1-2.建築コストが割安

木造住宅は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造など、他の構造の住宅に比べてコストが低いです。
木造住宅のコストが安いのには、2つの理由があります。

理由①材料費が安い
コンクリートや鉄骨に比べ木材の方が材料費が安いため単純に全体のコストが安くなります。

理由②工期が短い
鉄筋コンクリートの工期は8カ月程度、木造の工期は4カ月~6カ月程度と、大きく差があります。
工期が短いということは、それだけ必要な人件費等が変わってくるため建築会社に支払うお金も安くなります。

これらの理由により、木造住宅の方が比較的建築費用を押さえることができます。

注文住宅の坪単価(1坪あたりの金額)を比較すると

木造=40万円~100万円 ※軸組構造の場合
鉄骨=80万円~120万円 ※重量鉄骨造の場合
鉄筋コンクリート(RC)=90万円~150万円

という傾向があり、木造が最も安く、鉄筋コンクリートが最も高く、鉄骨がその中間にくるという構図になります。
これは構造ごとの重量の関係もあり、鉄骨やRCは基礎が重厚になる事も単価アップの一因となります。
尚、木造は構造木材の種類が多様なため、輸入材か国産材か、無垢材か集成材かによって差が出ます。

また、何らかのトラブルが発生し修繕が必要になった場合、修繕費も他の構造に比べて木造が安いという特徴があります。

念のため、必ずしもすべての場合において木造が安いとはいえない点はご承知置き下さい。
木造であっても、使用する素材の種類やグレード、大きさ/量、造り付けの程度などのこだわりによって、建築費はきりがなく上がって行きます。

1-3.自由度が高い

木造軸組工法の場合は、基礎・土台・柱・梁で構成されるため、建築基準法などの法的基準を満たす限り、間取りやデザイン、仕様を自由にプランすることができます。
そのため、注文住宅に向いた工法といえます。

「真壁造り」など、和風で伝統的な住宅にも使用できるため、特に和風の住宅を希望する方に、木造は適しています。

また、木造住宅をメインに施工する会社や設計士が多く、予算や好みのデザインに合った業者を
自由に選択できることから、会社選びという点でも自由度が高いともいえます。
加えて、リフォームに関しても、自由度が高いです。

子供の成長とともに夫婦二人暮らしとなったり、子世帯と同居するようになったりと、時間の経過とともに家族構成が変化することは珍しくありません。そんな時に間取りが変更しやすければ、そういった家族構成の変化にも柔軟に対応することができます

木造軸組工法の場合、上述のように基礎・土台・柱・梁のように、「点」や「線」で構造が構成されるので、建築基準法を満たす限り間取りを自由に変更することができるのです。

そのため、例えば部屋間の壁を抜いて一つの大きな部屋にしたり、逆に大きな部屋に新たに壁を設けて2部屋に区切ったりと、間取りの変更がしやすいことも大きなメリットです。

ツーバイフォー構造の場合、木質パネルという「面」で構造を構成します。このため、壁を取り払いたい場合、なくした分を担保する構造要素をバランスするのが簡単では無く、だれでも手掛けられる訳では無くなります。
鉄筋コンクリート造の場合は壁という「面」が堅固な塊であるため、撤去する事自体大がかりになります。
そのため、家族構成や環境が変わったとしても、間取りの変更が困難になります。
こういった点に於いて、木造軸組工法に大きなメリットがあると言えます。

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2.木造住宅のデメリット

2-1.水に弱い

木材の天敵は湿気です。

元来、木材は水に弱いものではありません。ですが湿気を帯びた状態が続くと「木材腐朽菌」と呼ばれるものが発生し、木材のセルロースなどの成分を分解することで、いわゆる「腐る」現象が起きてしまいます。
特に、地面から上がってくる湿気によって影響を受けやすい床下部分は、最も通風を気にしなければいけない箇所です。

また、腐朽菌の他にも気をつけなければいけないのがシロアリ。シロアリは湿気を含んだ木材を好むことから、木材腐朽菌と並んで気をつけなくてはならない害虫です。
床下部分は普段なかなかチェックすることができず、違和感に気づいたときにはすでに土台が腐っていたり、シロアリ食害を受けていることもあります。なるべくこまめに害虫駆除業者などに点検してもらうようにすると良いです。

訪問営業に来る駆除業者も多いのですが、簡単に話を鵜呑みにせず、信頼できる業者なのかどうかをしっかりと吟味した上で依頼する業者を選びましょう。

2-2.職人の腕によって仕上がりが左右される

現在、木材自体は工場でプレカットされたものを使うのが主流になり、構造材料自体

のばらつきはほぼなくなりました。

ただし木造住宅、とくに木造軸組工法では、大工さんが木材の組み上げや、細部の加工を行います。
その大工さんの腕によって、家の最終的な仕上がりが変わることになるので腕の良い職人さんと提携しているかどうかという部分も、業者選びのポイントになります

可能ならば、建築中の現場を見学し、その会社や職人さんの姿勢・仕事ぶりを確認しておきましょう。口コミやインターネット上での評判のみに頼らず、実際に自分の目で見極めることが業者選びに最も大切なことです。

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3.まとめ

安心する・居心地の良い家に住みたいというのは誰しもの願いです。木造軸組み住宅は、そんな家の実現に有効な工法と言えます。
これは、無垢の木というものが人という有機体と呼応する物質であることに他なりません。

建築費が抑えられたり、将来的に増改築を行いやすいというメリットももちろん大きいです。しかし最も大きなメリットは、木に包まれた生活ができるという部分です。空間の中に見えているかどうかに拘わらず、気温や湿度状態や人間の五感に柔らかく対応する素材であることこそが重要と言えます。

ただし同じ木造というジャンルの中でも、なるべく集成材や圧着加工された木材よりも、本物の無垢の木材を多く使用するようにしたいところです。
無垢の木材とは、そういった加工を施さず切り出した木材をそのまま使用する木材のことです。現代は意外とその無垢材の使用が少ないのです。

冒頭でもお伝えした通り、木ははるか昔から人間の生活に深く根付いている素材です。生命を育んできたと言っても過言ではありません。
木という素材への安心感は、人に遺伝子レベルで組み込まれているとも言えるでしょう。

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