壁を珪藻土にしようか、それとも漆喰にしようか迷っている方も多いのではないでしょうか?
これらについてはよく比較される素材であり、実際にそうした問い合わせも多くいただいています。
今回は珪藻土について、その特徴とデメリットを漆喰と比べながらご説明します。どちらにしようか悩んでいる方、素材を決めかねている方の参考になれば幸いです。
1 珪藻土とは?
珪藻土(けいそうど)とは、淡水植物プランクトンの一種「珪藻」の殻が海や湖の底にたまり、化石になった堆積物のことで、ダイアトマイトとも呼ばれます。
そのように聞くと「死体が原料なの?」と驚かれるかもしれませんが、そうではありません。
珪藻が何らかの理由で大量に増殖し、そして死滅すると、その死骸は水底に沈殿します。この段階では確かに死体なのですが、その後、死骸の中の有機物の部分は徐々に分解されていきますそして最終的には「二酸化ケイ素」を主成分とする殻だけが残るのです。
つまり、中身をきれいさっぱり食べられた後のカニの殻のようなものです。
古くは七輪の材料に使用されたり、濾過材として使用されていました。珪藻の殻は、中身が空洞の状態で固まっているので、非常に体積が小さく、湿度を調整する機能・脱臭する機能に優れているという特徴を持っています。また、耐火性にも優れているので、近年は壁土としての用途が見直されています。
見た目はざらざらした仕上がりになっており、目に見えない小さな孔が空気を吸ったりはいたりして湿度を調節したり、匂いを吸着したりする特性があります。
珪藻土とよく比較される漆喰とは?
漆喰(しっくい)とは、カルシウムが主成分の建材で、「石灰」とも呼ばれます。石灰という呼び名の方がピンと来る方も多いかもしれません。
防水性・調湿性に優れているため、古くから家屋の上塗り材として使われてきました。
石灰に、麻の繊維や藁の繊維を加えて、接着剤、水などを加え練り上げて作るのが、オーソドックスな漆喰です。
壁の上塗り材としては珪藻土と似ている部分が多いため、よく比較されます。
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2 壁にはどんな種類がある?
珪藻土について詳しく見ていく前に壁にはどのような種類があるのかを把握しておきましょう。
壁の種類は、大きく分けて3種類あり、それぞれに特徴があります。
2−1 塗り壁
珪藻度も漆喰も、この塗り壁という種類の壁です。この2種類以外にも「じゅらく壁」という種類があります。
塗り壁は、左官職人が「こて」を使用して壁の表面に壁材を塗って行き作る壁のことです。
クロスが普及したことによって、塗り壁で仕上げを行う家は少なくなり、今では左官職人の数も激減しています。昭和50年には約30万人いた左官職人が、平成22年には9万人に減少。約40年の間に3分の1の数になっています。
他の壁と違い、塗り壁は仕上がりが左官職人の技術に大きく左右されます。それは職人が現場で実際に壁を見て、原料の配合や塗り方を決めるため、どうしても職人の感性や腕に左右されてしまう部分があります。
耐久性も職人さんによって変わってきますので、塗り壁を選ぶ際には、腕の良い左官職人さんを探すことが非常に重要になります。
2−2 壁紙
壁紙は私たちの生活に最も馴染みがあり、現在家の壁は壁紙という方も多いでしょう。
壁紙はボードなどの下地に、糊で壁紙を貼っていくという工法の壁です。
日本では、戦後しばらくの間は塗り壁が一般的でした。しかし、1960年代以降は、施工の簡単さや、費用の安さが受け入れられたため、壁紙に人気が集まるようになりました。
現在はすべての壁を壁紙で仕上げている家がほとんどです。
壁紙自体にも様々な種類があり、最もポピュラーな「ビニールクロス」をはじめとして、「紙クロス」や無機質な素材を表面に塗着させた「無機質壁紙」なども開発されています。
2−3 タイル
タイル壁はキッチンやトイレまわりによく使われています。
最近では、調湿性を持たせたタイルもあり、デザイン性だけではなくむしろ機能性でタイル壁を選ぶ方も増えています。
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3 珪藻土の3つのデメリット
珪藻土を塗り壁の材料として検討しながらも、デメリットが気になってなかなか決定に踏み切れない方も多いかと思います。
珪藻土のデメリットとは一体何なのでしょうか。珪藻度と比較されることの多い、漆喰と合わせてそのデメリットを見ていきましょう。
3−1 土の粉がポロポロと落ちる
凝固材として糊を使用している場合などは特に、こすっただけで珪藻の粉がぽろぽろと落ちてきます。非常にデリケート言えるかもしれません。
そのため、珪藻土を塗り壁の材料として使用した人の中には、「壁にカレンダーを掛けることもできない」「洋服が壁と擦れて汚れる」「加湿器を入れていないと乾燥が激しい」といった声があるようです。家具をぶつけたりすると最悪の場合剥がれてしまう事もあります。
これに対し漆喰は表面がどちらかというとツルッとしており、多少のことで剥がれ落ちらりすることはありません。
ただし、さすがにコンクリートほどの強度はないため注意は必要です。
3−2 漆喰のように自ら固まる性質が無い
珪藻土は自然素材ですが自ら固まる性質がありません。セメントや、石灰、粘土、合成樹脂、糊、接着剤などの凝固剤を混ぜて使用します。ここで思い出して頂きたいのが、「珪藻土は珪藻の殻でできている」とうことです。
珪藻度の長所は、その「殻の中が空洞だからこその軽さや調湿性」です。凝固剤を大量に入れてしまうと、その殻の中の隙間が凝固剤で埋まってしまい、珪藻土の特徴でもある調湿性が損なわれてしまします。
凝固剤の量が少ないと剥がれやすく、凝固剤の量が多いとメリットが失われてしまうという悩ましさを抱えています。
もし珪藻土を使用するのであれば、どういった種類の凝固剤を、どのくらいの量使用しているのか確認しておくことが重要です。
安価なものの中には、珪藻土が数%しか含まれていないという商品もありますので、注意が必要です。
3−3 手間と時間がかかり、コストが割高
これは漆喰にも珪藻土にもどちらにも言える事なのですが、ビニールクロス貼りに比べると施工に時間がかかり、費用も割高になります(費用は施工会社によりまちまちです)。費用はクロス貼りの倍以上の金額がかかるでしょう。
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4 まとめ
塗り壁を選ぶ際に、珪藻土にするか漆喰にするかで悩む方は多いようです。
漆喰と珪藻土の違いは大きく分けて「見た目」「調湿性」「コストの違い」の3点です。
漆喰は、白くツルツルした見た目であり、調湿性は珪藻土よりは劣ります。価格は珪藻土に比べ、安い傾向にあります。
珪藻土は、色のバリエーションが豊富でざらざらとした見た目で、調湿性は漆喰よりも優れています。
珪藻土は色のバリエーションを求める方、調湿性を求める方、ざらざらしたゆず肌の表面を好む方におすすめです。
出来上がりは左官職人の腕に左右されるため、ホームページなどで実績をチェックするようにしましょう。
※漆喰についてもっと知りたい方は漆喰のメリットとデメリットについての記事をご覧くだだ