【徹底解説】古民家のリフォームにかかる費用について

【徹底解説】古民家のリフォームにかかる費用について

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古民家をリフォームすると言っても家全体なのかそれとも内装や水廻りだけなのかによって費用は大きく異なります。

リフォームをする際に費用や相場を知ることは重要です。
ただ、長い年月を経た民家ですから、実は手を入れた方が良い箇所が住まい手の考えとは別にあったりもします。
と、古民家リフォームは難しい部分があり、これらは住まい毎に実際に見ないと何とも言えないところです。

でもやはり費用感を知って予算を決めたいとお考えになるのもご尤もです。
そこでここではリフォームの内容ごとにかかってくる費用を説明しますので参考にしていただければと思います。

1 古民家リフォームにかかる費用

1-1 内装のリフォーム

ここでは内装をリフォームする際にかかる費用について紹介します。
内装といっても壁だけやるのか、床やドアもやるのか様々です。
各部分に関し「おおよそかかる費用」について書いていきますので参考にしてみてください。

●壁をリフォーム

壁をリフォームする際は、表面部分(仕上げ)だけでなく壁を壊して下地からリフォームすることも多いです。場合によっては、壁の新設や電気配線の変更、同時に耐震補強や断熱補強をすることもあるでしょう。
そう考えると、内装壁といってもなかなか一口に括りきれません。

と言う事で、壁の仕上げをシンプルにリフォームする場合を言うと、40坪程度で約100~200万円程度かかるでしょうか。

クロス張りで仕上げるのか、漆喰や珪藻土などの塗り壁にするのかによってだいぶ変動します。
更に、もともとの内装材の上から施工をすることでコストを抑えることもできますし、逆に上記のように壁の新設や壁内の構造・断熱補強などを加味すればもっと大きく変わります。
※構造補強は、柔構造である古民家にとってそれが適切なのかどうかを良く設計士とお話しされることをお勧めします。

壁は面積が広いだけにコストが大きくなりがちです。40坪にもなればトータル300~400㎡ほどになります。部屋の雰囲気を決定づける重要な役割を担いますし、どのような部屋にしたいかという理想とバランスし、そして予算も踏まえながら優先順位をつけることをおすすめします。

●床をリフォーム

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▲床の総交換工事

床をリフォームする場合、下地から検討を要する事も多くなります。
どの民家でも長い年月の間にちょっとずつ手が加えられており、特に近代に入って工業資材(合板など)で部分改修している場合、創建時から使われている材よりも劣化が早いケースが多く見られます。却って創建時の無垢床材や畳下の荒床の方が問題無く維持しているくらいです。
ただし大引きや根太材がシロアリにやられているケースもあり、そうした場合には総交換が推奨されます。
このとき、1階の床下は殆どが土の地面表しですので防湿処理も行えればより望ましいです。

床の仕上げ部分のリフォームだけをみると、1階40坪想定で200万円程度はかかるでしょう。
防湿コンクリートの処理や、床下地の根太・大引・床束等も含めて行くとさらに費用がかかります。
古民家はだいたい生活の場が1階で完結しており、2階があっても小屋裏スペースで昔の作業場のままだったり納戸になっている事が多いです。2階スペースを居室に変更するための床工事を行う場合もプラス費用となります。

床も選ぶ素材によって金額は変動します。
せっかくの味わいある古民家ですから、本体の存在感に調和する様な素材が選べると良いですね。肌触りや手入れしやすさなども比較検討してみて下さい。
部屋の用途と予算に応じて検討してみることもおすすめします。

●建具をリフォーム

建具もデザインや素材によって価格は様々です。
古民家は間仕切の板戸や格子戸、襖、障子が沢山あり、基本的に壁の殆どが建具です。但し既に間仕切りリフォームが行われている事も多く、一概に基本仕様のままという事も言えません。

新しいものへ取り替える場合は、建具費用と処分・建て込み費用として40坪程度で100万円前後かかります。建具をリフォームする際には周りの壁補修を要する場合もあるため想定よりも高めになります。

なお再利用であれば当然安く済みます。
古い板戸は良い味わいが出ていますので、問題無ければそのまま使う事も是非ご検討下さい。
障子は、組子が折れてしまっている事があります。部分修繕で使えれば良いですが、リフォーム後のイメージに合わない場合には交換の検討が必要です。遮音や断熱、メンテナンス(和紙の貼り替え)の問題も考えられますが、うまくすれば他の場所に移して再利用したり樹脂で強化された和紙や断熱効果のある和紙などもあります。そういった点も考慮してみてはいかがでしょうか。
板戸・障子は、洗って塗装直しをする事もありますが、掃除してそのまま使えそうならそれでも良いでしょう。付け外しが容易ですので、ご自身で対処してみるのも手です。
襖は和室の押入や仏壇部、続き間の間仕切等に採用されています。和紙の貼り替えで済めばだいぶコストを抑えられます。

経年で建物に歪みが出ている場合、建具と枠(柱)の上下で隙間が異なってしまっている事が多々あります。
根本的にはスケルトンにして建物の歪み取りを行わないといけませんのでだいぶ大変です。対処としては隙間に合わせた当て板を付ける方法があります。既存建具の仕様や状態によっては、塗装でだいぶごまかすことも出来ますので検討してみると良いでしょう。

このように内装工事は部位ごとにそれなりの金額がかかり、状態やリフォーム後のイメージによってだいぶ変動します。
基本的に適切な下地の状態確認と処理が重要ですので大工仕事が中心となり、左官やクロス、建具、塗装等の職方が入ります。
間取りや構造の変更、外部開口部、水廻りなどを伴わない内装全体リフォームの場合、材料費と工事費で40坪程度で約500万円前後かかります

古民家に使われている元々の素材は、素性が良いことが多いです。
繰り返しになりますが、なるべくベースの素材や造りが活かせるリフォームにできると良いでしょう。

古民家事例紹介

1-2 水回りのリフォーム

水回りのリフォームはシステムキッチンや浴室、洗面台の交換などがよく行われる内容です。
これらをリフォームする場合設備機器だけに目がゆきがちですが、それらにまつわる内装・配管配線なども重要な要素となります。
具体的な項目として、
・既存仕上げ、機器撤去工事
・給水、給湯、排水配管工事
・電気配線工事
・ガス工事
・内装及び窓工事
といったものが絡み、古い配管・配線は根本的な所からリニューアルを要することも充分考えられます。

例えば古民家の在来型浴室の撤去が割と大がかりであることは察しが付くかと思いますが、撤去後の土台づくりや防水処理、換気・暖房機器に応じた経路確保など、新しい設備に応じた下処理が必要になります。
また位置変更がある場合には給排水管(屋外埋設部も含む)の材質が旧式で接続替えに対応しにくかったり、分電盤から専用配線を持ってくる必要があったり..。
比較的大掛かりになる場合が多いです。

水回りを全てリフォームした場合、500万円程度はかかると思っておくとよいでしょう。
先に述べた付随部分の状況次第で更に変動しますし、グレードやサイズはもとより、浴室であれば脱衣所や洗面所までリフォームするのか、キッチンであれば位置を移動させるのかどうかによっても変わります。

水回りのリフォームは費用がかかりますが、キッチンを使いやすいものにしたり快適な浴室にしたりすることで、生活を充実するものとなります。
築30~40年の住まいとは違うという点を踏まえながら、自分のこだわりを出しやすい部分でもあるため、理想の暮らし方に合わせたプランニングを行い検討してみましょう。

1-3 断熱性を向上させるリフォーム

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▲天井の解体工事

建物の断熱性を上げることで夏の暑さや冬の寒さなどの外部環境の影響を受けにくくなります。
快適に暮らせるだけでなく省エネにもつながり、光熱費を削減できることから検討する家庭も多いです。

特に古民家の床下や天井は高く風が通り易くなっており、冬が非常に寒いという点が課題となっています。

断熱性を向上させるリフォーム内容として、床や壁、天井に断熱材を入れたり、開口部をサッシに交換するという方法が検討されます。

古民家の壁は土壁ですので内部は空洞ではありません。しっかりと断熱材を入れる場合、充填する場所を壊す必要があるため、内外装工事も同時にやる必要が生じます。
また床壁天井だけ処理しても開口部(窓)がそのままでは隙間風が多くて効果が出ません。断熱性のあるペアガラスサッシにへの変更まで考慮できるとより望ましいです。
この断熱の工事費として40坪程度で約200~1500万円程度かかるでしょう。

このおおきな幅は、どこまでやるか、によるものです。
しっかり行いたい場合、外壁面に関してはほぼスケルトン改修になります。気密性まで確保しようとすると、もっとかかるでしょう。
部分的な対処から考えて行く事も可能で、例えば床下を吹き抜ける冷気対策として床下の断熱処理をすると随分良くなります。この処理として30~40万円くらい。床面だけでなく隙間埋めも行う事が重要です。

開口部を断熱窓にすると更に変わります。既存の木製雨戸と木製硝子戸を撤去し、断熱サッシを取り付けます。縁側の欄間開口部も撤去して窓の背を高くします。
基本的に真壁造りなので内外装工事まで大幅に絡む事は少ないですが、戸袋の裏面や枠まわり木部の修繕など細々と生じます。内外装工事が同時進行すれば兼ねられて良いです。工事費として40坪程度で200万円程度はかかります。
縁側の開口部が最もかかりる部分ですが、裏手の窓等は水廻り改修で既にシングルガラスのアルミサッシが付いている場合が殆どです。こうした部分にはインナーサッシや断熱スクリーンを検討したり、或いは優先順位を落としてそのままにする考え方もありますので、多角的に検討して下さい。

1-4 外装をきれいにするリフォーム

家の中ではなく、屋根や外壁などの外から見える部分(外装)をきれいにするためのリフォームです。

 

屋根のリフォームは「塗り替え」と「葺き替え」の2種類があります。

「塗り替え」は、既存の屋根材がトタン等の板金に替えられており、その劣化具合をみて採用します。費用としても50万円前後と比較的安く済みます。

「葺き替え」は既存の屋根材の劣化が進んでいたり茅を下ろしてやり直したい場合に行うもので、40坪程度で300万円前後かかります。ただし、屋根材の種類によって金額は変わってきます。
葺き替えになると費用的に高くなりますが、自由なものに変更できたり、耐候性の高いものを選択できたりというメリットもあります。

瓦の場合には小屋裏から下地(野地)の様子を確認し、その具合で検討しても良いです。結構持ちが良く、そのままでも当面支障ないケースも多いです。
軒裏の化粧野地板が長い年月のうちに傷み、部分的に外れている場合もあり、その際は部分的に瓦を外して修繕が必要となります。
茅はその上から板金など軽量材でカバーする方法もあります。茅が持つ保温性を残し、屋外面を覆うことで、先々のメンテナンスが楽になります。
居室の天井を取り払って小屋組を表す際、茅葺きの裏面を表しにできますので雰囲気も上がります。

外壁リフォームは、外壁をスケルトンにせず、表層仕上げ塗装直しや傷んだ木部を修繕をすることがベースになります。
下見板や雨戸戸袋、木製面格子等に、腐食による劣化が良く見られます。
下見板は、同じ仕上げに再生するのかシンプルな塗り壁にするかでだいぶ変わります。サイディングは窯業系よりもガルバリウムなどの金属系の方が意匠性良く仕上がりますが、金属系の方が高価になります。
外壁及び木部塗装工事として40坪程度で200万円前後かかります。

外壁や屋根は雨風にさらされる場所なので必然的に劣化が早くなります。リフォームの際はデザインばかりでなく耐久性や機能面についてもよく検討した上で決めるようにしましょう。

1-5 耐震補強工事

古民家は建てた年代にもよりますが、伝統的な貫工法が多く、台風や地震の揺れを吸収する考え方で造られています。

一般的に耐震強度を増強させるためには、筋交いを入れたり、耐力壁を増やしたり平面剛性を高める補強をするといったことを行います。

しかし、古民家の場合、古いからといって一概に構造が弱いとは言い切れません。現行の建築基準法の「剛構造」とは全く違う「柔構造」になっているので、計算による耐震強度の明確化(アップ)は難しいのです。そのため一概にいくらでどうやってと言うことができないため、耐震補強をお考えの場合は予算や方法など専門家に相談することをおすすめします。

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▲曳家・ジャッキアップ

また古民家は基礎がありませんので、基礎に固定したい場合には「曳家・ジャッキアップ」という方法で家を持ち上げ、基礎と共に新しい土台を造らなければなりません。

基礎・土台を造ったら、基礎・土台と既存柱を金物で緊結して引き抜きに対する耐震強度を増強させます。

曳家・ジャッキアップをして基礎や土台を新たに作り工事を行った場合、40坪程度で約1000万円前後と非常に高額の費用がかかります(曳家の方法や基礎の作り方等によって費用は変わります)。

このように耐震補強については場合によっては費用が大きくかかります。特に古民家は状況を見ないとどのような工事が必要でどれくらいかかるかわからないので、耐震補強を検討するのであれば専門家に相談しましょう。

1-6 その他の工事費用

ここまでは部位や目的によってどれくらいかかるかを紹介してきましたが、これら以外に附随してかかる費用があります。

●電気工事費用

古民家の場合、建物が古いため新しい機器・設備などを入れる際に電源などの配線関係を増やさなければなりません。
もともと電気が充実していた時代に建てられたものではなく、住まいながら配線を増やして来ています。この為天井を見上げると露出の電灯・電話・TV配線が這い回っているのを良く目にします。

配線を新しくするためには、分電盤の更新、既存各配線ルートの検証(エリア毎の容量)と整理、スイッチ・コンセント・電源の増設など配線工事として40坪程度で100万円前後かかります

こうした古い配線の整理と更新は非常に大変ですが、これ如何で仕上がりに大きな差が出ます。
壁が少ない古民家ですので、配線用に壁を増設する事も検討しましょう。

●仮設工事費用

窓の取替えや水回りの交換など直接的な工事費用以外に、古い部分を撤去・処分する費用や、工事を行うための足場や養生などの仮設の費用がかかります。

内外装、設備関連も含めた工事の場合、仮設費用として40坪程度で10~150万円程度かかります。

柱など骨組みだけを残す解体(スケルトン状態)が必要なリフォームであれば、解体費・処分費は全体として40坪程度で300万円程度になります。

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2 まとめ:要望と予算から決めていきましょう!

それぞれの工事にかかる費用や相場を説明しましたが、リフォームといっても様々だと思われたのでないでしょうか。
実際には現場に行ってプロの目で見なければ、どのような工事が必要で、どれくらいの費用がかかるのか分からないのが現状です。劣化状況や広さなど、家によって全く異なりますので、一概にいくらかかると言えないのがリフォームの難しさです。

こだわり出すとドンドン費用は上がりますのでキリがありません。断熱の程度など、地域によって必要性の有無が異なりますので、そんな部分をよく相談していただきたく思います。そうした中で優先順位をつけることも予算を抑えるためのポイントです。

またきちんと計画していても、工事中に想定外の補修が必要になる事があります。
計画段階で一杯一杯の予算取りをせず、予備費を考えておくと安心です。

古民家事例紹介

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