無垢材と集成材は何が違う?それぞれの特徴やメリット・デメリットについて

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建物に使用される木材は、すべて無垢材と集成・積層材の2種類に大きく分けることができます。
簡単に言えば、無垢材は伐採したそのままの木材です。そして集成・積層材は細かく砕かれた或いは薄くスライスされた木材を接着剤で固めた木材です。

その中で現在構造材から造作材まで幅広く利用されている集成材。一見無垢材のように見える木材も、しっかり見ると実はところどころ木目が違う集成材であることもしばしば。

だからといって無垢材が優れているというわけでも、集成材が優れているというわけでもありません。どちらにも一長一短があり、個人の好みやコスト、用途などによって使い分けるのが良いでしょう。

そこで今回の記事では、無垢材と特に集成材について、それぞれの特徴や用途による使い分けのポイントをお伝えします。

1 集成・積層材と無垢材の特徴について

1−1 集成材の特徴(メリット・デメリット)

集成材とは、カットされた小さな木材を接着剤で接合したものです。
現代の木造建築では、無垢材より集成材の方が多く使用されており、実際にハウスメーカーが作る家は集成材であることが多いです。

集成材は無垢材と違って寸法安定性の高さが特徴で、反りや割れが少ないため非常に扱いやすいという特徴があります。
また強力な接着剤で固定しているため、素材の基準強度も無垢材に比べて集成材の方がおよそ1.4倍優れていると言われています。

しかし強度に関してどちらが優れているとは一概には判断しづらい部分もあります。というのも、無垢材の場合は含水率(木材の内部に含む水分の割合)が10%から1%が最も強度が高くなるため、しっかりと乾燥させた無垢材は、集成材よりも強度が高いとも言われています

乾燥の度合いによって強度が変わってしまう無垢材と一定の強度を維持できる集成材、という意味では集成材の方が扱い易く優れているといえるでしょう。

価格に関しては、集成材はある程度の価格帯が決まっています。それに対し無垢材は節の有無などの条件によって価格が大きく変わります。基本的に節が多いほど安くなり、節のないものは高くなります。平均すれば集成材の方が安い金額で購入できますが、節のある無垢材なら、集成材よりも安くなる場合があります。

集成材のデメリットは、まだ開発されてから歴史が浅いという点が挙げられます。今後何十年も経ったとき、接着が剥がれる可能性が無いとは言えません。接着が剥がれてしまえば、強度は激減します。

もうひとつのデメリットは、本物感をという満足感、或いは愛着を持てる度合いに差がある点です。やはり木が持つ木目の豊かさはや深みは、無垢としてのボリュームが大きいほど、より強く感じられます。料理店のカウンターが一枚板か集成材かで、得られる印象が違うのにも似ています。一方、とても上手に表面を加工して自然な木材に質感を似せた材も出ています。ですが認識としてそれが無垢ではないと心の中で分かっていると、どこか愛着が持ちきれない感覚が生じます。例えば大きなリフォームや建て替えを行うとします。このとき、しっかりした無垢材ならば残したい、或いは再利用したいという感覚を持ちやすいですが、集成材の場合はその度合いが低くなる傾向が高いです。

このほか、接着材に含まれる有機化合物成分は過去にシックハウス症候群の原因になった経緯があります。現在は研究により人体に悪影響を及ぼす主要な成分(ホルムアルデヒドなど)の含有率が厳しく制限されていますが、万人に確実に対応できるという確証があるわけではありません。アレルギー傾向が強い方は使用について充分ご検討なさる事をお勧めします。

1−2 無垢材の特徴(メリット・デメリット)

無垢材とは、伐採した木のままを柱や梁、板材などに加工した木材のことです。
伐り出して必要な形に削ったものであり、自然界に存在した組成からほとんど変わらない状態で使用するため、人間がその状態の変化をコントロールしにくいという特徴があります。

無垢材は温湿度の影響が状態の変化として素直に現れやすい性質があります。周囲の湿度が高いときには膨張し、低いときには収縮する。「反り」「むくり」と呼ばれるものです。集成材もそれなりの膨張収縮を行うのですが、集成材は細切れの集合体である事や木目を互い違いに接着する事などで変形を抑制する仕組みになっています。無垢材はそこまでの人為的コントロールを行っていないため、サイズや形状、強度の変動が大きくなります。

しかしコントロールが難しい分、本物の木を使用していることから重厚感や温もりが感じられ、経年変化も色濃く楽しめます。また無垢材はサイズ等の変動はありますが、逆に言えば部屋の中が乾燥していれば水分を放散させ、湿気が多い時は空気中の水分を吸収するという調湿機能がより大きいとも言えます。

また、集成材と違い、接着剤等の人工剤を使用していないため、強いアレルギーをお持ちの方でも安心して暮らすことができます

無垢材のもう1つのデメリットは、割れが起こり得る事です。呼吸をしているからこそ伸び縮みが出て割れが入るとも言えますが、これは化粧で表す柱や梁など、より断面が大きなものほど顕著です。大断面材は無垢材ならではの醍醐味がありますが、これらは原木に近い形で使用されるため数に限りがあり、価格が集成材より高価になるものが多いです。

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2 使用場所について

2−1 柱・梁

柱や梁は無垢材を使うべきか、集成材を使うべきか、正解はありません。しいて言うなら、個人の好みというほかありません。

無垢材には、割れやサイズの狂いが起こる可能性があるものの、本物の素材による豊かさが感じられます。一方集成材は人工的な材であるものの、計算された強度を持っているという安心感があります。

前述の通り、どちらを使用するにしてもそれぞれのメリット・デメリットがあるので、そこを踏まえたうえで検討すると良いでしょう。

2−2 建具

建具とは、ドアやふすまなど、部屋と部屋を仕切り開閉する部分のことです。
近年はフラッシュという造りの建具が主流です。フラッシュ建具とは、骨組み(芯材)の両面に化粧合板(積層材)を張ったドア(戸)のことです。中が空洞になっているため軽量であるという特徴があります。
値段は比較的リーズナブルですが、表面が合板であるためやや高級感に欠ける印象はあります。

建物全体に無垢材をふんだんに使用している場合、建具もそれに合わせて無垢材にしたいという方も多いでしょう。それは、建物に統一感を出す上で、もちろん良いことです。
しかし知っておいていただきたいのは、無垢材は伸び縮みする可能性があるという事。もちろん制作側もそれを見越して乾燥が行き届いた材を使用します。それでも年月とともにドアがスムーズに開閉できなくなることがありますので、そういった部分も含めて無垢材の豊かさだと理解しておきましょう。

無垢とフラッシュ、やはりコストに大きな差があります。ですので例えば廊下からリビングに入るドアは無垢材にして他の部分はフラッシュ戸にするなど、こだわりたい場所にだけピンポイントで無垢材を使用するのも良いのでしょう。

2−3 床

床も建具と同じで無垢材の方がコストが高くなります。従って全室無垢材だと高価になってしまいますので、リビングダイニング、玄関ホールなどよく使い滞在時間が長いパブリックスペースには無垢材を、トイレ、納戸、洗面所など一時利用の場所は合板やビニール材などを使用する方法もあります

あとは床以外の壁や天井、柱などとのバランスも大切です。
例えば建物内部の柱があらわし(柱や梁が見える状態で仕上げる造り)になっている真壁づくりで壁は塗り壁の場合、やはり無垢材の方が雰囲気は抜群に良くなります。

積層フローリング等を使用する際の注意点は、20年~30年と年月が経つと表層の接着が弱まってしまい、細部のめくれやすり切れが生じる場合があることです。

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3 まとめ

集成材と無垢材それぞれの特徴をご説明しましたが、以下のような目的で選ぶとよいでしょう。

集成材はこんな方におすすめ→値段を安く抑えたい。無垢材のような割れや伸び縮みが嫌。
無垢材はこんな方におすすめ→木の温かみを感じたい。アレルギーで悩んでいる。無垢材が動くのは呼吸している本物の証拠だと割り切れる。本物志向の家造りを目指している。

つまり、「見た目や質感、自然であることにこだわりたいなら無垢材。その他の場合は集成材」ということです。
また、『適材適所』という考え方がある事もお忘れなく。使用するボリュームが大きい基本構造には無垢を、狂いが生じると不便を感じやすい階段や建具には集成/積層材をそれぞれ組み合わせる事はよくあります。
迷われたら専門家に相談してみることをおすすめします。

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