人工素材が使用された家を建てて、または購入してから、ある程度の年数が経過し、「何となく暮らしてきたけど、我が家をもう少し納得の行くものにしたい」とリフォームという考えが生まれてきている方は少なくないと思います。
当初は、「明るそうだし、デザインもまあまあ良い感じだから気に入った!」と決めたものの、歳を重ね、住まいも年月が経過すると「まあこんな感じか」と特別な感慨もなくなってしまうものです。
購入当初は建材が「自然素材なのか人工素材なのか」などという観点を持たずに購入を決める方がほとんどではないでしょうか?
リフォームを考える段階になっても、自分が物足りないと感じる原因が人工素材にあると、気づかない場合もあります。
人工素材は、人間が愛着を感じにくい造りになっています。そこが、自然素材との大きな違いに結びつきます。
自然素材は、歳を重ね、成熟してゆく人間の生活の器として最も適した材料です。
上手く活用することで精神的にも肉体的にも豊かな生活を送ることが可能となります。価格は人工素材よりも高額になりますが、長い目で付き合って行ける素材ですので、おすすめです。
1.自然素材を用いたリフォームとは?
自然素材を使ってみようかな、と考えている方の多くは、現在そうでない人工素材が使用された住宅にお住まいなのではないでしょうか。
例えば、床は合板に木目がプリントされたフローリング。壁・天井はビニールクロスや床と同じ様なベニヤなど。
そういった素材は、新築当初はきれいで明るく、爽やかですが、時とともにそんな印象も薄れていってしまいます。
自然素材はその「経年による変化が行き着く先」が根本的に異なります。
素材によっては色・艶が深まり、経年でついたホコリなどが原因の汚れも、何となく味になってしまうところがあります。
人工素材と天然素材の経年変化を分かりやすく言うと、「単純にただ汚れていくのか、汚れ自体も味になっていくのか」ということになるのです。
さて、自然素材を採用するリフォームには、どの様な特徴があるのでしょうか。
自然素材は、もともと自然界にあり、混ざり気がなく、素地が活きる様につくられたものは、生物である人間に対し大きな共感と心身の調和をもたらします。
特に、心身を形成して行く子供が過ごす場として、自然素材の住宅は適しています。
視覚(アースカラーのやさしさ)・聴覚(やわらかな吸音や反響効果)・嗅覚(自然の香りや消臭効果)・味覚(直接、間接的な安全性)・触覚(適度な弾力)に和らぎを持たせる効果は、発育に重要な役割を果たすと言って良いでしょう。
人工的な素材の空間は、素材の許容力が低くなりがちです。それを補うため空調など機械設備に頼る様になってしまうと、体力や免疫力などの低下も考えられます。
自然素材は、そのものが調湿性や保温性を持っており、知らずに人をサポートしてくれる良さがあります。
そして、愛着をもって接するほど長持ちし、更なる魅力を形成してくれるのも、自然素材の良さです。
例えば、昔の人は米ぬかで床や柱を磨きました。古民家や町家では、何とも言えない光沢を放った大黒柱や床板を見ることが出来ます。手入れのしがいがある素材であるという点も、自然素材の魅力のひとつです。
ただ、そう念入りでなくとも、柱や梁であれば1週間に1度ハタキを掛けてあげたり、床であれば普段の掃除機がけでも問題はありません。なるべくやさしく接してあげましょう。
自然素材は、石や金属は別として、調湿性能を持つ点に大きな特徴があります。これによって得られる効果は、特に日本の気候に非常に良く馴染み、私たちに快適性をもたらします。
調湿(呼吸)をする生物に近い存在のため、発汗や発熱を受け止め、和らげる効果はがあり、これは人工的な素材には長期的に持ち得ない魅力です。
この調湿性能が発揮されている代表的なものに、靴があります。本革製+革底の製品は、長時間履いていても非常に蒸れにくい性質があります。これは、革が持つ透湿性が理由です。
靴底がゴム製になると、少し蒸れを感じ始め、合成皮革+ゴム底になると夏場は履いてられないほど蒸れてしまます。自然素材が持つ調湿性能は、これと全く同じように考えられます。
60年以上本物の注文住宅にこだわり続けた
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2.自然素材リフォームにかかる費用について
自然素材は、人工的な製品と違い、大量生産が出来ません。“自然”から取り出してきたそのものを活かし、または精製し、素材に磨きをかけながらつくられるからです。
また、工場で作られる製品のように、どこを切っても均一な安定した性能のものでもありません。そのため、お客さんの元に届いて、実際に建材として施工されるまでの間に、安定させるために、熟練した職人の手間を必要とします。
生産においても施工においても、製造工程が効率化された人工素材と比較して、多くの手間と時間がかかるため、費用は人工素材よりも割高となります。
逆に言えば、そんな素材だからこそ、精度を極める世界が存在する意義もあるといえます。ですが、そこまで極限の精度を求めなくても、豊かな質感は普通に長い目で楽しむことは可能です。
数年したら汚れが目立ち、リフォームしたくなる様な人工的な素材は、後々後悔する可能性が高いでしょう。後悔した結果、結局リフォームするという費用を考慮したら、長期的にかかる費用は同じか、下手をすれば自然素材の方が安くつくかもしれません。
最初にもう少し金額面で頑張って、良いものを愛着を持って長く使っていただく事が一番お安いという考え方もできるので、目先の安さに飛びつかないようにすることが重要です。
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3.失敗しない業者の選び方
家は一生の買い物なので、後悔しないよう業者選びは慎重に行いましょう。
先ほど、自然素材による家づくりは熟練した職人の手間が必要だと書きましたが、これは経験と勘の世界に通じるものとも言えます。
自然素材は、より豊富なノウハウを持つ職人が扱う必要があります。
ただし、あまりにも職人側に寄りすぎてしまうと、現代的な生活の場に相応しい仕立てが難しくなる可能性があります。
機能性やデザイン、さらには全体のバランス、費用も含めてコーディネートでき、なおかつ自然素材の扱いに長けた管理者を選ぶことができれば、最適です。
一番分かりやすくシンプルな選び方は、経歴と実績に目を向けるということかもしれません。歴史があるということは、それだけのノウハウがあるということにつながり、さらには顧客との長い付き合いが存在するということを意味します。
そして、モデルハウスではなく自然素材を用いた実際の施工事例が多数あり、現実的な実践が繰り返されていること。
そういった事例を見学できる機会があれば、ぜひ見てみましょう。
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4.まとめ
自然素材について、長所ばかりを強調してきましたが、扱い次第では強度が不安定になったり、膨張して建具が合わなくなったりする可能性もあります。
しかし、それも自然素材の特徴のひとつだと受け入れる気持ちを持つことも大切です。そして、素材の扱い方によって、そのようなことが起こる可能性を減らすことができます。
施工時の扱いから、住みながらの扱いまで、とにかく大切です。
良く扱えればどんどん質感が良くなり、末永く愛着を持って住み続けていただけます。
家が自然素材で作られていると、家それ自体だけではなく、家を舞台とした生活自体をも豊かなものにしてくれます。
是非一歩、自然素材に囲まれた生活の世界へ足を踏み入れてください。