狭小住宅とは、その名の通り、「狭小な土地に建てられた狭小な住宅」のことをいい、土地目一杯に家を建てることが多いです。
では、どれくらいの広さなのか?というと、明確な定義はありませんが、一般的に約15坪(50㎡)以下の土地に建てられる住宅が狭小住宅と呼ばれています。
窮屈でいびつな間取り…。狭小住宅と聞くと、そんなデメリットを思い浮かべてしまう方も多いのではないでしょうか。
確かに大人数で住むには狭小住宅は、手狭ゆえの不便さが感じられるかもしれません。
しかし長い目で見ると、狭小住宅にはメリットが沢山あるのです。
例えば時間の短縮や、家の中で行われる活動の効率化があげられます。
部屋や設備がコンパクトにまとまっている狭小住宅は、住まい手の動線を短くし、家の中での移動の時間や家事負担を大幅に削減できます。
家族の居るスペースが近距離にまとまることでお互いの気配も感じやすくなり、より密なコミュニケーションが取れるようになります。
また、コスト面でのメリットも見逃せません。
土地代やそれに関わる申請や登記の費用はもちろん、住宅のサイズ自体が小さいので自ずと取得費用も抑えられ、それに伴い光熱費等を含めた生涯にわたるランニングコストも低い水準で維持することができます。
そこで今回は、そんな狭小住宅に快適に住まうための間取りの工夫についてご紹介いたします。
住みやすい配置と間取り
狭い土地にはめ込むように計画する狭小住宅は、少しでも空間に広がりを感じられるように建てるには、いくつかの工夫を施す必要があります。
部屋を区切らない
間仕切壁とドアで部屋ごとに区切る計画は、狭小住宅では致命傷になります。狭く暗く、圧迫感が生まれるためです。
壁で仕切は事をなるべく無くし、続きの部屋にすると開放感が生まれます。
特にリビングまわりは人が集まりますので、LDKや客間をひと繋がりにすると空間に広がりが生まれます。
プライバシーの問題で部屋を仕切りたい場合には、間仕切の高さを抑えて上部を開けるとか、袖壁などで意識的な仕切りを設けるなど、必要最小限の目隠しをすることで、空間に奥行を生み出せる様になります。
また、カーテン/スクリーンで必要な時だけ開閉する間仕切や、格子で仕切るなどの仕掛けも有効です。
60年以上本物の注文住宅にこだわり続けた
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収納の工夫
住宅のプランを考えるうえで欠かせないのが収納ですが、使えるスペースが限られている狭小住宅ほど念入りに計画を練る必要があります。
「隠す収納」で視界すっきり
一番広く見える収納方法は、「隠す収納」とすることです。
一般に、見える場所にモノが置いてあるだけで実際よりも部屋が狭く感じられるからです。
まずは多少居室のスペースを削ってでも、思い切って納戸を造ってしまうのも効果的です。
収納スペースを扉で覆うことで、収納スペースが壁と一体化してスッキリとします。
また、市販の収納ボックスを同色・同デザインで沢山揃えておき、モノを収めたボックスを棚に並べておけば視覚にもスッキリとして空間が広く見えます。
頻繁に出し入れする収納箇所でボックスが煩雑に感じる場合は、棚ごとロールスクリーンなどで隠してしまう方法も有効です。
すき間を見逃さない
モノは暮らしと共にどんどん増えていきますので、収納はあればあっただけ重宝します。
理論上では、今ある荷物(収納したいもの)+25%以上を見込んで計画すると良いとされています。
狭小住宅での収納は、先ほど述べた「隠す収納」の他、すき間を見逃さずにモノを収めていくことが重要となります。
幅が20センチも満たないような家具の間や天井周辺、カウンター下、階段下など、基本的には床から天井までのあらゆるスペースを、収納できる場所がないか見ていきます。
既製品の家具では合うサイズを見つけるのが難しくても、造作家具ならオーダーメイドで住宅にぴったりと合わせた収納を手に入れることができます。
造作家具で収納を造り付けするデメリットは、コストがかかる点です。
造作専門の家具店などでの設計・施工が一般的ですが、少しでも費用を抑えるなら住宅本体の木工事を行う大工さんにセットで施工してもらう方法が有効です。
打合せの初期段階で、担当の業者に相談してみてはいかがでしょうか。
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部屋を広く見せるインテリアの工夫
住宅のデザインの仕上げ段階ではインテリアの計画をすると思いますが、ここでも狭小住宅ならではの工夫が求められます。
ホワイト系の分量を多くする
人がモノを見るとき、第一印象で目に入るのは色調です。
一度に何色もの色が視界に入ると、それだけで部屋がゴチャゴチャとして狭い印象が与えられてしまいます。
また、色が統一されていても、ダーク系の色は狭くて暗い印象を与えてしまい逆効果になりかねません。
なるべくホワイトやアイボリーなどの自然で明るい色で統一することで、部屋を広く明るい印象に仕上げるのがおすすめです。
家具などの高さを抑える
家具などの高さを抑え、自然に立った時の視線のラインに入るものが少ない状態にすると、視界が開けて大きな空間として認識されます。
可能であれば、ダイニングテーブル・チェアをローテーブルとソファに変えるだけでLDKはぐんと広く使うことができ、天井も高く感じられるようになります。
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まとめ
住宅の取得・維持管理費や家の中での動線、居住人数の変化への対応など、様々なものに対する合理化が期待できる狭小住宅。
- 部屋を区切りすぎない
- 「隠す収納」「すき間収納」でモノの少ない空間を保つ
- ホワイト系インテリアや低めの家具で視界を広く演出する
以上の工夫をすることで、狭小住宅での生活を開放感で気持ちの良いものとすることができるでしょう。
手に入る土地のサイズが小さくても、予算があまりなくても、狭小住宅という選択肢でマイホームを検討してみてはいかがでしょうか。